TK1911T cal. 44TK⑨


前回の記事で「アウターバレルの塗装が上手く行かなかった」と書きました。
どう上手く行かなかったかと言えば…

 ・ 塗装面が粉を吹いた様なザラザラ状態
 ・ 表面の凸凹が全く隠されず、完全硬化後も凸凹が確認できる状態

という惨憺たる結果になりました。
塗装直後に「失敗したかも」と思いましたが、まさかここまで酷いとは…

完全硬化後のアウターバレルを見てみます。



メタリックシルバーなのでパッと見は綺麗に見えますが、実際は表面全体が粉を吹いた様なザラザラ状態になっています。手で触っても凸凹がハッキリ感じられる程の激しいザラザラ状態です。
そして普通なら塗膜で隠蔽される程度の凸凹が全く隠蔽されず、凸凹が明確に確認できる状態のまま完全硬化してしまいました。

アップの写真を見ると表面のザラザラと部分的な凸凹がよく判ります。
写真マジックで綺麗に見えますが、実際はこの10倍汚い状態です。









イサム塗料の二液ウレタンスプレーは今まで何回も使用しているので慣れているつもりでしたが、今回はその「慣れ」が災いしてしまいました。
原因は次の二点です。

 ・ 表面仕上げが完璧でなく僅かに凸凹が残っていた
 ・ 日没後の気温が急速に低下している時間帯に塗装を強行した

前回のウレタンプライマーサフェーサー研磨で表面がツルツルになったのは間違いないのですが、部分的に微細な凸凹が残っていた様です。
通常は塗膜で綺麗に隠蔽される筈ですが、今回は全く隠蔽されませんでした。そして塗装面全体が粉を吹いた様なザラザラ状態で完全硬化してしまいました。
こんな失敗をしたのは初めてです。

二液ウレタンスプレーの使用方法です



二液ウレタンスプレーは缶の内部に硬化剤が充填された容器が内蔵された二重構造になっています。
使用開始時に噴射ボタンを押し込むと硬化剤の容器が解放されて缶の内部で塗料と硬化剤の混合が始まります。そのため開封後に45秒~60秒ほど缶をよく振って完全に混合させる必要があります。メタリック系は塗料と硬化剤を混合させるだけでなく、塗料に含有された金属粒子も完全に混合させなければいけません。
私はメタリック系の場合は1分30秒しっかり缶を振る事にしています。



実は缶の表面に「冬季5℃以下の気温では硬化反応が大幅に遅れますので塗装しないで下さい」と注意書きが記載されています。
二液ウレタン塗料は通常の塗料とは異なり、塗料自体が『重合乾燥』という化学反応を起こして硬化します。そのため化学反応が進行して完全硬化するまでは適正な温度で乾燥させる必要があります。
コチラです



今回は日没後に気温が急速に低下している悪条件の中で塗装しました。
インディのオリーブドラブは正常に塗装できましたが、ウレタンメタリックシルバーは塗装し始めた直後から「塗料が硬い」状態でした。いくら強く噴射しても塗料の飛びが悪く綺麗に拡散しませんでしたが、二液ウレタンスプレーは一度使い始めると24時間以内に使い切らなければいけません。仕方なく塗装を強行しました。

その結果、気温が低過ぎて表面がザラザラになってしまいました。
完全な失敗です…



仕方なく完全硬化後に塗膜を削り落としました。
それもただ削るだけではなく、研磨した場所から凸凹が出てくる度に溶きパテを塗り込んで再び研磨するというメチャクチャ手間のかかる作業を行いました。

ウレタン塗料の硬い塗膜を削り落とすだけでも疲れるのに、240番→400番→600番の三種類のペーパーでの凸凹処理も同時に行ったので物凄く時間のかかる大変な作業になりました。
その甲斐あって今度こそピッカピカのツルッツルに仕上がりました!



チャンバーカバーの平面部分に凸凹は一切ありません! 組み込むと見えなくなる反対側も完璧に仕上げました!
バレル部分も手抜きは一切ありません! 完全にツルツルです!





マズル部分も入念に仕上げました。
形状を修正してRの大きい独特のクラウンを正確に再現しています。
凸凹の処理も完璧です!





結果的にウレタンプライマーサフェーサーとメタリックシルバーと溶きパテの三種類の表面処理剤で表面の凸凹を完全に処理しました。これだけ研磨を繰り返しても平面部分が少しタレただけで済んだのはPA12の硬さがあればこそです。

積層構造の3Dプリント部品は表面処理に物凄く手間がかかります。もう少し何とかならないのかと思いますが、現状では最先端技術を駆使した造形物といえども地道な研磨作業でのフォローが欠かせません。

結局、アウターバレルは再塗装になりました…



スライドは綺麗に仕上がりました。
インディの塗料は気温が低くても綺麗に塗装できています。単純に溶剤を揮発させて硬化する普通の塗料の方が二液ウレタン塗料より綺麗に塗れてしまいました。
普通は逆なのですが…

しかしよく見ると表面が荒れている場所が三箇所もあります。
最終仕上げの際にエッジのタレを修正した部分です。







最終仕上げの最後に左右の平面を研磨しました。
その時に三箇所のエッジがタレているのに気付いたので、少し斜めに研磨してエッジの辻褄合わせを行いました。
ABS樹脂なら何事もなく修正できていた筈です、が…

斜めに削ったおかげで積層構造の縞模様が表面に出てしまいました。現状では塗料で隠蔽し切れなかった細い線状の凸凹が目視できる状態です。しかもエッジ部分なので非常に目立ちます。
溶きパテを塗り込まずに600番のペーパーだけで仕上げたのが原因です。



刻印も真っ直ぐビシッ!とはしていません。
まるで手掘り彫刻の様に直線部分がガタガタに歪んで見えます。
コレも3Dプリント特有の積層構造が原因です。

3Dプリントで造形された凹文字は他の部分と同様に凸凹しています。小さい凹文字は凸凹の影響を強く受けるので「造形は正確なのにガタガタに見える」現象が発生します。ロゴマークも底面が広くて直線部分が長いので凸凹の影響を強く受けます。
何故かアラビア数字は非常に綺麗なのですが…







凹文字の刻印としてはギリギリ及第点といったトコロでしょうか?
造形は正確なのですが、凸凹が激し過ぎてお世辞にも綺麗とは言えません。しかもケガキ棒で正確に追い彫りするのは力加減が非常に難しいです。少しでもチカラを入れ過ぎると先端が跳ねて余計な場所にキズを入れてしまいます。

3Dプリントは小さい凹文字の造形には不向きと言わざるを得ません。
機械彫りでは不可能な極小の刻印も自在に造形できるのですが、凸凹問題が解決しなければ美しく仕上がらないのが惜しいトコロです…



幸運にもTK1911Tの刻印は白色です! 多分レーザー刻印だと思いますが白色です!
白色なのでクレパスでスミ入れして凸凹を埋めます!
安直ですが一番簡単で確実な解決方法です!



シリアルナンンバーは普通の凹刻印なのでマスキングテープで保護します。拭き取りの際に溶けたクレパスが入り込む可能性があるので、作業が完了するまでこのままマスキングしておきます。

グリグリ塗り込むと凸凹が消えます! エッジがビシッ!と綺麗になりました!
このまま拭き取り作業を行えば刻印が美しく蘇ります!









シリコンリムーバーで余分なクレパスを除去します。
オリーブドラブは表面に残ったクレパスがかなり目立つので丁寧に拭き取ります。しかし強く擦るとオリーブドラブの表面が擦れてティッシュペーパーが緑色になるので優しく丁寧に拭き取ります。



拭き取り作業が完了しました! 遠目には非常に綺麗です!
オリーブドラブのスライドに白色の刻印が美しく浮かび上がっています!
凸凹は消えたのでしょうか!?









結果はご覧の通りです。
スミ入れしても凸凹は消えませんでした!
おおぉぉぉぉ…

ツライチまでクレパスを塗り込むと綺麗に凸凹が消えますが、拭き取り作業を行うと凸凹が浮き出ます。コレは研磨の繰り返しとウレタンプライマーサフェーサー&オリーブドラブの重ね塗りで刻印がかなり浅くなっていたのが原因です。

しかし全体のシルエットが浮かび上がる事で多少の凸凹は気にならなくなりました。
正確に言えば凸凹で欠けている部分より正しく刻印できている部分の方が鮮明に目に映るおかげで「見た目がマシになった」だけなのですが…





気を取り直してF/Rサイトのドットにスミ入れを行います。
コチラもクレパスを使用しました。鉄色倶楽部 青組とのコントラストが綺麗です。
一度クレパスの手軽さを経験してしまうと、もう筆塗りには戻れません…

F/Rサイトをスライドに装着します。
元々の寸法がキツキツなので塗装後は一段と嵌合がキツくなっています。
ブローバックの衝撃で外れる事はまず考えられない固さです。





色々と文句を言ってきましたが、ココまで来ると感慨深いモノがあります。
マッドさん渾身の素晴らしい造形の3Dプリントスライドです! それを物凄い時間と労力をかけて観賞に堪えるレベルまで仕上げました!
完成まであと一歩です!





この状態でウレタンつや消しクリアーを塗装してクレパスを保護します。
スライドとF/Rサイトを別々に塗装すると嵌合がキツくなり過ぎて組み込めない可能性が高いので、先にF/Rサイトを装着しました。



自然光で見るとオリーブドラブが鮮やかに発色します。そしてスライド上の白色の刻印がとても美しく映えます! 実際に再現すると配色のセンスの良さに驚きます!
「たかがロシア製の1911クローン」と侮れないカッコ良さです!



フレームも同様にウレタンつや消しクリアーを塗装しました。
コチラはMEUピストルそのままですが、色が変われば印象がガラリと変わります。
当たり前ですがM45A1そっくりです。



そしてアウターバレルです。
表面のつやが前回とは比較になりません! 遠目に見てもピッカピカに輝いているのが一目瞭然です! 平面部分も曲面部分も完璧です!
渾身の表面仕上げが見事に報われました!

塗装したのは先月26日なので既に完全硬化しています。
しかし先週も忙しかったのでまだ乾燥させた状態のまま放置しています。
今日明日も忙しいので、組み立てるのは明後日以降になりそうです。

いよいよ完成目前です!
次回に続きます!




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