SV Infinity ”Fast8 Pistol”⑧

さてスライドです。

先の記事では「三度目の正直でおおむね満足」みたいな事を書きましたが…
実は全然満足していませんでした。

サフを吹いた結果がコレです。



パッと見は上手く出来ている様に見えます。
パッと見だけは…



サフのおかげで歪みが一目瞭然。
手ヤスリで手彫りしたセレーションが歪みまくってます。



リアセレーションもこの通り。
凸部分がビシッ!っと長方形になる筈が、セレーションがグニャグニャ歪んでイビツな台形になってます。
まるで上下が細くて中央が太いビール樽の様です。

さすがにコレは酷すぎます。
即刻修正です!



セロテープを巻いたMr.持ち手棒をセレーションに置き、その状態でプラリペアを流し込みます。
Mr.持ち手棒は直径2mmです。この作業をすべてのセレーションで行い、セレーションの幅を2mmに統一する作戦です。

形状修正も同時にできるので一石二鳥です。



こんな感じでセレーションをプラリペアで埋めていきます。

この作業ではクレオスのサフを落とさずにプラリペアを盛ってます。
プラリペアのリキッド(硝酸メチル)がサフを溶かすのでプラリペアの盛り付け自体は問題なく行えますが、溶けたサフがヌルヌルするのであまりオススメしません。
実際、何箇所かヌルヌルでMr.持ち手棒が滑り落ちてプラリペアを盛り直しました。
「こんなズボラ加工もできますよ」的な「悪い例」としてご覧下さい。

乾燥するとこんな感じです。



幅2mmのセレーションが成型されてます。
ここまでは良い感じです。



リアセレーションもこの通りです。
右から二番目のセレーションのプラリペアがサフと混じって妙な色になってます。

嫌な予感がします…

ここから不要なプラリペアを削り落とします。
240番のペーパーでガンガン削ります。



セオリー通り1,000番のペーパーまで削り終えたスライドです。
ここからセレーション内側の整形を行うのですが…



何とサフの混じったプラリペアは強度がなく、ボロボロと剥がれ落ちていきます!
リキッドがサフの溶解に奪われて下層のABS/プラリペアを溶かせていません。これでは新しく盛ったプラリペアが喰い付く筈がありません。

その結果…



やる前と同じ!  歪んだセレーションがコンニチハしました!

おいおい…



リアセレーションもやる前と全く同じです。
あのプラリペア盛りは一体何だったんだ…

全くの徒労に終わりました。

「プラリペアの盛り付け自体は問題なく行えます」と書きましたが、謹んで撤回させて頂きます。
皆様もプラリペアを盛る際にはサフを完全に落としてから実施しましょう。

という訳で型取り作戦失敗です。
仕方なく歪んだ箇所に地道にプラリペアを盛っていきます。



リアセレーションも同様に盛ります。
実に五回目のプラリペア盛りです。いい加減ウンザリしてますが我慢して盛ります。



で、乾燥後に棒ヤスリで整形します。
手ヤスリでゴリゴリ削ります…

削り過ぎたらプラリペアで修正して削り直します。
その繰り返しです。

削っては修正し、削っては盛り直し…
これを延々繰り返します。

ゴリゴリ…


ゴリゴリゴリゴリ…

………





あああああああ!!!

で、こうなりました。



どうやっても上手くいかないので、思い切ってセレーションを全部埋めました!
歪んで加工してしまったモノを後から修正するのは非常に難しいです。というか私の技術では無理です。
それならすべて埋め直して最初からやり直した方が良いのでは? と判断しました。

決してヤケクソではありません。



ロゴマークの入る平面部分は埋めるのも再加工するのも大変そうなので、とりあえず手をつけずに保留です。
それ以外のセレーションはすべて埋めて最初の状態に戻しました。



埋め跡からセレーションの歪み具合がハッキリ判ります。
これだけ歪んで太さが違っていれば、小手先のプラリペア盛りではどうにもなりません。抜本的な修正が必要です。

という訳でスライドを再び角材に戻した訳ですが…

この加工で六回目のプラリペア盛りと平面出しの研磨を行いました。
研磨に次ぐ研磨でスライドが大変なコトになってます!



ダミーエキストラクターの右側がゴッソリ無くなってます!
下側のレール部分を見れば左右とも同じだけ薄くなっているのが判ります。

実際に測った方によれば、ハイキャパ5.1のスライド幅は23.6mmだそうです。
コチラです
実銃のM1911A1もスライド幅が約23mmです。Infinityのスライド幅が純粋な1911系と同一寸法かどうかは分かりませんが、ほぼ同じだと思います。
あえて超メジャーな1911系と違う寸法にするメリットがあるとは考えられません。

それに対して…



現状のスライド幅がなんと21mm! 実に片側1.3mmずつ削り落としてます!
実銃より細くなりました!

おかげで剛性が無くなってしまいました。
持って軽く力を入れるとクニャっと頼りなくたわみます。
どのくらい剛性がないかと言うと…

★ 仮組みしてスライドを持って引こうとすると、たわんだスライドがアウターバレルを掴んでしまいスライドが引けない。

★ リアサイトをつまんでスライド操作すると、バシャン!とまるで紙の様な軽い音がする。

このくらい剛性のない状態です。
なので仮組みではAIP製の120%スプリングではなく純正スプリングを使用しました。これほどクニャクニャだと怖くて強化スプリングは使えません。

加工に戻ります。

ここまで薄くなった以上、次の加工がラストチャンスです。
実に七回目のセレーション彫りです!
今度失敗したら新品スライドを買い直さざるを得ません。

超慎重にケガき線を入れます。



リアも同様にケガいていきますが…
1mmのピッチでケガいてたら訳が分からなくなったので途中で止めました。
リアについては最初の一本目の位置が分かれば十分です。



それでは掘ります…
もちろん手ヤスリで手掘りです。

超慎重に彫っていきます…

ゴリゴリ…


ゴリゴリゴリゴリ…

………



できました!



何と! 最後の土壇場でバッチリ完璧に彫れました!
ほぼノーミスです!



240番→400番→600番→800番→1,000番で仕上げた状態です。
最後の最後で決まりました!



光の加減やプラリペアの濃色などで分かり難いですが、セレーションがビシッ!と平行に入ってます!
歪みはほぼゼロです!



コチラ側も三回目とは比較にならない位、真っ直ぐにセレーションが彫れています!
見違えました!

ダストカバー部分も完成一歩手前まで研磨仕上げを行いました。
細かい部分の最終仕上げはこの後に行います。



リアも微妙に歪んでるセレーションはありますが、これまでとは比較にならない位ビシッ!と真っ直ぐに彫れています。

平面部分も左右の幅が24mmになるように研磨し直しました。



リアはどうしても左右非対称になってしまうのですが、綺麗に彫れたセレーションを見ると些細な事に思えてしまいます。

しかし彫る道具も方法も同じなのに、なぜ今回は上手く彫れたのでしょうか?

これは彫っていてすぐに分かりました。

実に六回も彫ったり修正したりを繰り返した挙句、セレーションを埋め戻しました。
その結果、セレーション部分のほぼすべてがプラリペア層になりました。
鉄工ヤスリでABSを彫ると少しの手ブレでもすぐにセレーションのラインが歪んでしまいます。セレーションが深くなってもそれは変わりません。
相手がABSだと最初から最後まで機械の様に少しもブレずに彫らないと真っ直ぐなセレーションが彫れないのです。
これは私の技術ではちょっと無理です。

対して硬いプラリペアは彫り始めこそチカラが要るものの、一度彫り始めればちょっと手ブレしたくらいではセレーションのラインが歪む事は少ないです。
セレーションが深くなるとガッチリ硬い溝を彫り進める感覚で楽に真っ直ぐなセレーションが彫れます。
歪みが出てもプラリペアは硬いので修正も楽です。ABSの様に修正したつもりが削り過ぎてグチャグチャになる事はありません。

豆腐を正確に切るのは難しいですが、大根を正確に切るには割と簡単です。
コレと同じでした。



この ”Fast8 Pistol” 製作のために新品のプラリペアを使用していましたが…もうパウダーの底が見える寸前です。リキッドは二本目です。
スライドとの格闘の跡が伺えます。全く自慢になりませんが…

あと問題というか気になる箇所を見つけました。



ロゴマークの入る平面部分を削り過ぎて、裏側のスライドレールの溝部分が浮き出てしまいました。
赤丸で囲った補修部分から向かって左に薄くレールの溝が透けて見えると思います。



反対側も同様にプラリペアで修復しました。

この平面にはSVのロゴマークを彫刻機で彫ってもらう予定なのですが、ここまで薄く削り過ぎると「彫刻できないよ」と言われる可能性がゼロではありません。
そうなると何をやってるのか分からなくなります。

0.2mm位のプラ板で補強しようかな? と考え中です。
プラ版を使えば安易に研磨に頼らなくても平面出しができるので一石二鳥です。

次回に続きます。




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