スライド加工の続きです。
三度目の正直でようやく左右対称にセレーションが彫れました。
修正に次ぐ修正でプラリペア面積が増えていたので大変でした。
なぜ大変かと言えば、先にも書きましたがABS樹脂とプラリペアの硬度が全然違うからです。
完全硬化したプラリペア部分は硬くてカチンカチンです。鉄工用ヤスリでも結構チカラが必要です。しかも切粉がほとんど出ないので削れ具合が把握し難いのです。
ABS樹脂部分とプラリペア部分をまたぐ様にセレーションを彫る箇所など、気を付けないとABS樹脂の部分だけが削れ過ぎて歪みが生じます。
続いてリアセレーションを加工します。
が…
スライド後部の形状が大変なコトになってます。
上の写真の通りです。
ロゴマーク用の平面はともかく、間隔がゼロの四本セレーションはABS樹脂の強度的に無理です。仮に完璧に同じ形状を再現できたとしても、ガチャガチャ弄ってるうちに凸部分が折れてしまうでしょう。
金属製のスライドだからこそ実現できる造形です。
故にリアルさは損なわれますが間隔を開けて四本のセレーションを彫り、その前方に平面を整形することにしました。
このくらいのアレンジは許容範囲内だと思います。
さて、反対側も左右対称に彫るのですが…
またもや苦戦しました。
パッと見は問題なく見えますが、セレーションの間の凸部分の幅が明らかに広いのが分かると思います。
全く同じ位置にケガき線を引いて彫るのに左右対称になりません。
実はココも一回失敗してプラリペアで修正していますが、さすがにこれ以上修正すると平面が歪んでしまいます。
左右非対称な仕上がりですが仕方ありません。コレで我慢します。
ロゴマークの入る平面部分の幅は左右対称の21mmで掘りました。21mmという数字は単なる現物合わせの寸法ですが、せめて平面部分の幅だけは左右対称にしました。
下から見るとズレ具合が一目瞭然です。
ま、細かい事は気にしない方針で行きましょう。
とりあえずスライドの加工が一通り終わったので、荒れてる部分をプラリペアで修正して、240番→320番→400番→800番→1000番のペーパーで最終仕上げを行います。
全体的にキリッとしました!
彫りっぱなしと仕上げ研磨後では綺麗さが明らかに違います!
反対側も綺麗になりました。
細部を見てみます。
まずはフロントセレーションです。
小キズが消えて綺麗になりました。
バトラーカット部分も仕上げ研磨済みです。
スライド平面の先端上部のエッジが研磨に次ぐ研磨でタレてるのが残念です。
ま、いざとなれば簡単に修復できるので気にしません。
コチラ側はエッジのタレもなく綺麗に加工できています。
不等ピッチのセレーションが美しいです。
エジェクションポート部分です。
研磨に次ぐ研磨でプラリペアで埋めたリーフカットと刻印がクッキリ浮かび上がってます。つまりこれだけスライド側面が薄くなったという事です。
エアガンとしての強度を考えると、これ以上の研磨は控えた方が良さそうです。
リアセレーション部分です。
左右非対称を考えなければ上出来です。
反対側も十分綺麗な仕上がりです。
ブリーチが収まる部分を極限まで深く掘ったので強度が心配ですが、天下のマルイ製品なので大丈夫でしょう。
この後、形状の確認と小傷消しを兼ねてサフを吹きました。
これでスライドの加工はひとまず終了です。
次はシャーシの加工です。
先端部分のバトラーカットは済んでいますので、それ以外の部分を加工します。
実物はレール部分の形状が4.3のシャーシと異なってます。
実物はレールの中央部分にスリットが一本あるだけですが、ハイキャパは縦横にスリットが入ってます。
コレを再現するために新しいスリットを彫って既存のスリットを埋めます。
金属部分なのでジーナスを使用します。
まず中央部分にスリットを新設します。
そして不要なスリットをすべてジーナスで埋めます。
豪快にモリモリいきます。
シャーシ右側のマルイ刻印もすべて埋めます。
ジーナスは高いのできるコトは一度に全部やっておきます。
スライドストップの軸穴も完全に埋めてますが、これには理由があります。
実物の写真を見てみましょう。
ハイキャパのシャーシはスライドストップを外しやすい様に軸穴の周囲に座グリ加工が施されてますが、SVのシャーシは座グリ加工がありません。
この形状を再現するためにスライドストップ軸穴を埋めました。
そしてリコイルプラグの用途不明な切り欠きも埋めてしまいます。
完全硬化後に反対側からリューターでスライドストップの軸穴を開けます。
萎え刻印は全て埋まってます。
リコイルプラグも上手く埋まりました!
違和感ありません!
レールのスリット部分です。
研磨すると予想以上にスや埋め残しが出てきました。
新しく掘ったレールも加工の雑さが目立ちます。
再度ジーナスでスや埋め残しを完全に埋めます。
雑な加工のスリットも一旦埋めます。
スリット部分です。
一旦埋めてからセロテープを巻いた割り箸を押し付けて型をつけています。
これで小傷も歪みも平面出しも一度に解消できる筈です。
刻印部分も念のために埋め直します。
スライドストップの軸穴は反対側から開け直すので問題ありません。
シャーシはひとまず乾燥待ちです。
ジーナスの完全硬化後に作業を再開します。
ここで追加注文したパーツを組み込みます。
KM企画のステンレスハンマーストラットです。
なぜコレを注文したかと言えば…
中途半端なポリッシュのハンマーを研磨し直してピッカピカに仕上げたのですが、そうすると純正の安っぽいハンマーストラットの安っぽさが際立ってしまいました。
地味なパーツですが銃を構えると必ず目に入る部分なので妥協はできません。
シルバー同士で相性はバッチリです!
細かい所ですが最終的な仕上がりに差が出る筈です。
さて、今回のカスタムはもうひとつ大事な加工が残ってます。
グリップです。
BWC製ディンプルグリップをハイグリップ加工します。
実はハイグリップ加工は初めてなのですが、要はトリガーガード下部を削ればいいんだろう…と軽く考えながら実物写真を見ました。
が…
さすがは ”Fast8 Pistol”。一筋縄ではいきません。
なんとトリガーガードが外側も内側も完全なスクエア形状です!
トリガーガード自体も非常に細いです!
Infinityの実銃写真は沢山見ましたが、トリガーガードがこんな完璧なスクエア形状なのはこの銃だけです!
ホントに爆弾だらけの銃です…
BWCのグリップを見てみます。
センスの良いグリップです。
握り心地が良い上にザラザラした素材で滑りにくいです。
理想的なグリップだと思います。
太いトリガーガードです。
コレを削ってあの細いスクエア形状に仕上げなければいけません。
始める前から目まいがしてきます。
で、作業に入りますが…このグリップ、グラスファイバー入りの強化樹脂製なので非常に硬いです! 普通にポン付けで使用する分には強度があって摩擦に強くてとても良いグリップなのですが、硬くて加工が大変です!
鉄工用ヤスリでひたすらゴリゴリ削る事、小一時間…
できました!
物凄く疲れました。
腕がプルプルしています。
まぁ初めてにしては上出来かな、と思います。
マガジンキャッチの下側は内側の隔壁が透けるまで削ったのでコレが限界です。
トリガーガード下部の一直線の部分も強度的にこれ以上は無理だと思います。
しかし実物はフロント部分のチェッカリングがないスムーズタイプです。
それは作業前から分かっていました。
でも疲れ過ぎてそこまで削る気力がありませんでした。
ま、気が向いたら後日削ります。
なかなか上手く加工できました、この角度までは…
もう少し光を当ててみます。
240番→400番→800番→1000番のペーパーで仕上げたのでツルツルですが、いくらシリコンリムーバーで磨いても削った箇所の白い削り痕が消えません。
ABS樹脂なら真っ黒に戻るのですが。
素材の特性でしょうか?
グリップなので塗装はしたくありません。
常に握る部分なのですぐに剥がれるのが目に見えてます。
光にかざさない限りそんなに目立たないので、とりあえずこのまま様子を見ます。
マグウェルを付けてみました。
カッコイイです!
ギラギラじゃないマットシルバーなので落ち着いた渋い格好良さです!
実は私、この手のいわゆる「レースガン」はあまり好きではないのですが、この銃に関しては好きになれそうです!
無意味に華美に走るのではなく、全ての部分が機能最優先で選ばれた形状とパーツで構成されているのが好印象です。
ま、この銃はちょっと特殊ですが…
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ありがとうございました!
後10分で来年ですが、これからもよろしくお願い致します!
来年に続きます。