Randall 1911 Model B111①


11月になりました。今年もあと二ヵ月で終わりです。




先月までの暖かさはどこへやら、11月になった途端に初冬の寒さがやってきました。ここ数年は秋らしい秋がないまま冬に突入していますが、今年もそんな感じになりそうです。








今回から新しいカスタムを開始します。




1911カスタムです。




「またか」と思われるでしょうが…ご安心下さい。今まで誰もやった事のない1911カスタムです(少なくとも私は誰かがこのカスタムを行った記事を見た事がありません)。今まで自分の技量を考えて封印していた、とっておきのカスタムです!




私は架空銃にはあまり興味がありません。それよりも実在する銃を再現するカスタムに魅力を感じます。今回の1911カスタムも相当な変わりダネですが、ちゃんと実銃が存在します。




コチラです!
















Randall 1911 Left-Handed Model B111、いわゆる「左利き1911」です!




このランドール製左利き1911シリーズは収集家の間では非常に人気があり、程度の良い個体は物凄い価格で取引される超プレミアムアイテムです。ライフリングまで逆回転にした完全な左右反転1911なので、工業製品としての価値も一級品です。




コチラの個体は2002年に2,500ドルで落札されています。新品同様の程度極上の個体が17年前で2,500ドル(11月8日現在で1ドル109.19円=272,975円)なので、現在は3,000ドル以上に高騰していると思われます。








米国でも左利き1911は相当な異端児です。最初に商品化したのがランドール社で、同社が倒産した後はチャーターアームズ社が「左利きリボルバー」を商品化した程度です。完全な左利き1911を商品化するメーカーは現れませんでした。












左利きのハンドガンが商品化されない理由は「ハンドガンのアンビ化が定着した」からです。手間と時間と費用をかけて左右反転したハンドガンを開発しなくても、各種レバー類をアンビ化すれば事足ります。タクティカル系アンビカスタムの流行も追い風になり、左利き1911は過去の存在になりました。








そんなアンビ化全盛の2012年に、超高級ラグジュアリー系1911メーカーのカボット社が突如ショットショーで左利き1911を発表しました。コチラもライフリングまで逆回転にした完全な左右反転1911です。同社は現在も左利き1911 “S100 SauthPaw” をラインナップする唯一のメーカーです。












この “S100 SauthPaw” はMSRP(メーカー希望小売価格)4,695ドル(512,647円)~というとんでもない高額商品です。いわゆる「他では手に入らない」少量生産の超高級ラグジュアリー系1911として生産されている商品なので、ランドール製左利き1911とは趣が大きく異なります。富裕層向けの商品です。







ランドール社の前身は1950年代に創業した航空機部品修理会社KEN-AIR社です。同社の社長ケン・ルー氏と、友人で当時チャイナエアライン社のアドバイザー職に就いていたラッセル・ランドール元空軍准将(第二次大戦の英雄らしい)は、銃器産業への参入で意気投合します。




1981年にランドール元准将の名声を借りた “Randall Firearms Company” を創業して銃器開発を開始します。そして1983年6月に航空機産業で培ったステンレス加工技術を活用したオールステンレス製1911 “A111” の生産を開始しました。




始めて商業的に成功したオールステンレス製1911として有名なのが、1977年に生産されたAMT製ハードボーラーです。初期のハードボーラーはフィーディングランプに問題を抱えており、それが “ハードボーラー(弾選びが大変な銃)” の名前の由来になった事(ラウンドノーズ弾以外の弾薬を使用すると作動不良が発生する)は有名です。








その後もいくつかの小規模メーカーがオールステンレス製1911の商品化を試みましたが、ステンレス特有の “かじり” 現象を克服できすに終わりました(初期ハードボーラーのフィーディングランプ問題も一種のかじり現象)。




“かじり” はステンレスの「摩擦係数が高い」「熱伝導率が低い」「熱膨張率が高い」性質により、高速で回転/往復運動するステンレスが摩擦熱で膨張して対象物に密着する焼き付き現象です。




ランドール社は高度なステンレス加工技術でかじり現象を完全に克服して、オールステンレス製1911マガジンも始めて商品化しました。”The Only Stainless Steel Fits For The Duty” のスローガンと共に、オールステンレス製1911バリエーションモデルを次々と販売します。







この事から「オールステンレス製1911を始めて成功させたのは小規模メーカーではAMT社、大量生産メーカーではランドール社」と言われます。ステンレス特有のかじり現象がいかに克服困難な問題であったかが窺い知れます。




ランドール製1911は2モデルに大別されます。




・ 右利きモデル(モデルコードA***)
・ 左利きモデル(モデルコードB***)




スライド長は三種類です。




・ フルサイズ(モデルコード*1**)
・ コマンダーサイズ(モデルコード*2**)
・ カーチス・ルメイ(モデルコード*3**)




左利きモデルも特徴的ですが、カーチス・ルメイも特徴のあるモデルです。




これは東京大空襲で有名なカーチス・ルメイ元空軍大将(東京大空襲時は少将)が、自分がデザインした1911を商品化して空軍コマンド部隊で制式採用しようとコルト社に打診したものの断られたため、知人の勤めるランドール社に依頼して商品化したモデルです。












正式名称は “Curtis E. LeMay Four-Star Model” で、カーチス・ルメイの名前と大将の階級章である四つの星が刻印されています。他にも角型トリガーガードやベレッタM1934みたいなフィンガーレスト付きマガジンバンパーが独特の雰囲気を醸し出す魅力的なモデルです。




最初は左利きモデルとこのモデルを同時並行で製作しようと思いましたが、日本国内で「鬼畜ルメイ」の異名で呼ばれるカーチス・ルメイの評判があまりにも悪いため、こんなモデルを造った日には世間の皆様からバッシングされる(気がする)ので止めました。








スライド形状は三種類です。




・ 通常スライド(モデルコード**1*)
・ リブスライド+固定リアサイト(モデルコード**2*)
・ リブスライド+ミレットアジャスタブルリアサイト(モデルコード**3*)




使用弾薬は二種類です。




・ .45ACP(モデルコード***1)
・ 9×19mm(モデルコード***2)




S&Wオートの様な分類方法ですが、項目が少ないのでS&Wオートほど難しくありません。各項目を素直に当てはめれば簡単にモデル名が判ります。




左利き+フルサイズ+リブスライド+固定リアサイト+.45ACPのB121。








右利き+フルサイズ+リブスライド+固定リアサイト+9×19mmのA122。








右利き+コマンダーサイズ+通常スライド+9×19mmのA212。







右利き+カーチス・ルメイ+リブスライド+アジャスタブルリアサイトのA331。







ランドール社はこれらのオールステンレス製1911バリエーションモデルを次々と市場に投入しましたが、あまりにも時代の最先端を行き過ぎたために売り上げが伸びず、生産開始から僅か二年後の1985年5月に倒産しました。総生産数は9,949挺でした。




商業的には成功しなかったものの、ランドール社は銃器産業に多大な功績を残しました。今では何という事もないステンレス製の銃器も、その源流はランドール社が1980年代に確立したオールステンレス製1911の大量生産技術にあります。








また左利きモデルで左利きユーザーの要望に真正面から向き合った事が、後の各種レバー類のアンビ化に発展しました。「銃に人を合せる」時代から「人に合わせたセットアップを行う」時代への転換もランドール社の先進的な試みが原点と言えます。







日本ではマイナーどころか誰も知らないランドール製1911はどれも魅力的なモデルばかりです。なかでも左利きモデルは「ありそうでなかった」「誰かやってそうで誰もやってない」美味しい1911カスタムになりそうです!




左利きモデルも多数のバリエーションが存在しますが、今回は一番オーソドックスなフルサイズ+通常スライド+.45ACPのB111を再現します。簡単に言えば「シリーズ’70を左右反転させて細部の形状を変更した」モデルです。これならマルイのシリーズ’70を左右反転加工すれば製作できそうです!








次回からカスタムを始めます。




簡単に「シリーズ’70を左右反転させる」と書きましたが…亜鉛合金製の各種レバー類を左右反転させて正常に機能させるという高度な加工が、大雑把な私にできるのでしょうか?




自信がなくはないですが、今回ばかりはやってみないと判りません!




お楽しみに!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です