KSCマカロフPM⑧

組立作業を続けます。

いよいよフレームです。
フレームの分解/組立方法は取説に一切記されていないので、試行錯誤しながらの組立作業になります。
とはいえ難しい場所はそんなに多くはありません。
昔のKSC製品の複雑怪奇なパズル状態と比べれば簡単な部類だと思います。
それでも十分難しいのですが…

それではフレームに取り掛かります。

まずはリアハウジングです、が…
分解の際に構造を確認しないままハンマースプリングを引き抜いたので、ハンマースプリングの組込方法を確認する必要があります。

正しく組み込むために、一度リアハウジングを分解します。
三本のピンのうち二本は左右どちらからでも抜けますが、中央のインパクトフレームピンだけは右側にしか抜けません。



取り外すのはハンマーとインパクトフレーム、トリガーバーリンクだけです。
シアーを取り外す必要はありませんが、インパクトフレームを組み込む際にシアーを動かす必要があるので、シアーピンを抜いておきます。
分解はこれでOKです。



「別に分解しなくても、1911系と同様にスプリングを置いてみれば判るのでは?」と思われるでしょうが…コトはそう簡単ではありません。

KSCマカロフPMのハンマースプリングは一枚の金属板を折り曲げて複数の機能を持たせているのが特徴ですが、注目すべきは上部の枝分れした部分です。

パッと見は1911系と同様に一枚の金属板をスライスした数本のスプリングが横一列に並んている様に見えますが、実際は横一列に並んだ二本のスプリングの裏側に、下部を一周して戻ってきた一本のスプリングが配置されています。
KSCマカロフPMのスプリングは立体構造です。



スプリングが立体構造なので、スプリングが関係する部品を分解して、スプリングの組み込み方を立体的に考える必要があります。
ココがKSCマカロフPMと1911系のスプリングの違いです。

組み立てては作動チェックを行い、またバラして違う組み方をして作動チェックを行い…の地味なトライ&エラーをひたすら繰り返します。


一度「コレだ!」という組み方で銃をすべて組み立てましたが、ハンマーを起こしてもトリガーを引いてもインパクトハンマーが全く動きません。
仕方なくバラバラにしてイチからやり直しました…

………

ようやく正解が見つかりました!
メカに詳しい方は「ナニを大袈裟な…」とお思いでしょうが、あまりメカに詳しくない私は物凄く苦労しました。

リアハウジングを仮組してみます。フレームに組み込む前の予行演習です。
手順は次の通りです。

 ・ インパクトフレームを定位置に組みこむ
 ・ 後方からトリガーバーを挿し込む
 ・ リアハウジングとインパクトフレームの間にトリガーバーリンクを組み込む
 ・ シアーピンとインパクトフレームピンを挿し込む
 ・ シアーに噛み合わせてトリガーバーリンクを固定する

ハンマースプリングを組み込む前にここまで組み立てておきます。
この状態を仮に「★A状態」と名付けます。



前方から見た写真です。
トリガーバーリンクは上からシアーに押さえられるだけでピンで固定される訳ではありません。なので左右にグラグラ動きますが、トリガーバーリンクの定位置はリアハウジングの右端なので右側(写真では左側)の隔壁にピッタリ合わせます。
トリガーバーリンクが左にズレているとハンマーが入りません。



そしてハンマースプリングとハンマーを組み込みます。
ハンマースプリングの反発力は強力ですが、正しく組み込むとリアハウジングにキチンと固定されます。

これで仮組は終了です。
この状態を仮に「★B状態」と名付けます。



組み込み方は次の図の通りです。
インパクトフレームに組み込むスプリングの位置がポイントです。
ちょっと意外?な位置でした。


ハンマーとトリガーバーリンクはこれ以外に組み込みようがありませんが、まさかインパクトフレームの前側にスプリングを組み込むとは…
気付くまでに物凄く時間を費やしました。

しかも! 後で見つけましたが、ちゃんと組立方法が動画で公開されています!
事前に観ておけば良かった…


改めて仮組したリアハウジングを見てみます。
まずは後方です。
ハンマーとトリガーバーリンクへのスプリングの組込状況が判ります。



次に前方です。
インパクトフレームの前方にスプリングを組み込むために、スプリングがリアハウジングとインパクトフレームの間に挿し込まれているのが判ります。



太いハンマー用のスプリングの真正面にインパクトフレーム用のスプリングが位置しているのがお判りでしょうか?

そして左側です。
この写真からも、三本のスプリングが前後に振り分けられているのが判ります。
前方(左側)がインパクトフレームに組みこまれるスプリングです。



仮組ですがリアハウジングは完成しています。
コレをこのままフレームに組み込めばすぐに完成するのですが、ハンマースプリングがフレームを貫通できません。

リアハウジングを分解します。
そしてフレームの下側からハンマースプリングを一杯まで挿し込みます。



この状態でリアハウジングを★A状態まで組み立てます。
リアハウジングとインパクトフレームの間に挿し込んだスプリングの反発力でハンマースプリング自体が右に回ろうとするので、回らない様にハンマースプリングを押さえながらリアハウジングを少しだけフレームに入れます。


そしてハンマーを組み込みます。
まず下から持ち上げる様にスプリングをハンマーに引っ掛けます。
この時にリアハウジングをフレームに入れ過ぎていると、ハンマースプリングがフレームに密着してハンマーに引っ掛け難くなります。
あくまでも少しだけリアハウジングをフレームに入れておきます。



ここからハンマーをリアハウジングに押し込むのですが、ハンマー用のスプリングは反発力が強力なのでハンマースプリング自体が下に抜けそうになります。
ここから先はハンマースプリングを押さえたまま作業します。

 ・ ハンマーを定位置まで押し込みハンマーピンで固定する
 ・ リアハウジングを完全にフレームに押し込む

ハンマースプリングが強力なので押さえていてもリアハウジングが少しずつフレーム内に入っていきますが、インパクトフレームとトリガーバーリンクに組み込んだスプリングが外れなければ問題ありません。
結果的にふたつの作業はほぼ同時進行になります。



最後にハンマースプリングをフレームに固定します。
ハンマースプリングを押さえたまま上下位置を微調整して、フレーム中央のグリップスクリューベースをハンマースプリング中央の穴に挿し込みます。
そしてハンマースプリングリテイナーで挟み込んで、ハンマースプリングを完全に固定します。



この工程がフレームの組み立てで一番難しいトコロです。
ハンマーを押し込む時にハンマースプリングが下に抜けたりリアハウジング内の部品が外れたり、絶対に一発では組み込めない超イラつきポイントです。
強力なハンマースプリングを押さえ続けるチカラも必要です。



リアハウジンが正しく★B状態に組み立てられているのが確認できれば、三本のピンでリアハウジングをフレームに固定します。
これでリアハウジングの組み込みは終了です。



フレーム後方部分の作業はこれで終わりです。
続いて前方部分に移ります。


まずトリガーガードを組み込みます。
シャフトを一本挿し込むだけの簡単作業です。



次にバレルベースを組み込みます、が…
事前にバレルベースの真下の穴にトリガーガードピンとトリガーガードスプリングを入れておきます。入れ忘れ注意です。

バレルベースにトリガーを組み込んでおきます。
トリガーバーを持ち上げてバレルベースを滑り込ませ、トリガーバーのピンをトリガーに挿し込みます。



そしてバレルベースをフレームに組み込むのですが、トリガーバーが突っ張って上手く入りません。
そこでトリガーを引いてダブルアクションでハンマーを作動させ、トリガーバーとシアーの連結を外します。連結が外れるとトリガーバーはスカスカになるので、トリガーを前後させながらバレルベースをフレーム内の定位置に組み込みます。



そしてバレルベーススペーサーを挟み込んで、4mmの六角ネジで固定します。
途中で何回かトリガーガードスプリングの引っ掛かりを感じますが、気にせず最後まで完全にネジ込みます。
これでバレルベースの組み込みは終了です。



これでフレームの組み立てが一通り終わりました。
グリップはすべて完成した後に装着します。


次はバレルです。
アウターバレルにインナーバレルを挿し込んでピンで固定します。そしてフィードランプを二本のピンで固定すれば完成です。
取説に書かれた通りの方法なので間違えようがありません、が…

インナーバレルピンが固くて挿し込めず、ハンマーで叩き込まなければ入りません。
ここで最初に異変を感じましたが、この時は「塗膜が噛み込んでいるのかな?」としか思わずにスルーしてしまいました。

アウターバレルはこんな感じです。
ネジ切り部分を接合したおかげで、インナーバレルが19mmも奥になりました。
見た目のリアルさはバッチリです!



フラッシュ撮影でようやく見える位置です。
普通に見ただけでは確認不可能です。



見た目は良いのですが…
異変を放置したままアウターバレルを組み込みます。

ネジ切り部分の長さだけ全長が延長されていますが、ハンマーを起こしてチャンバー部分を横に倒せば何とか組み込めます。
世界に一本だけの「カスタムバレル」を感じる瞬間です!



しかしバレルベースまで挿し込んだトコロで止まってしまいます。それ以上は手で押し込んでも全く入りません。仕方なくピンポンチをフィードランプに当ててハンマーでガンガン叩いて定位置まで挿し込みました。

またもや異変発生です。

バレルベースに収まる部分はマスキングで塗料の付着を防いでいます。仮に塗料が原因だとしても、ハンマーで叩き込む程のガチガチさにはなりません。
取説の通りに組み立てた筈なのに、なぜこんな事が起こるのか?

原因はバレルに挿し込むピンにありました…



強引に叩き込まれたピンがバレルベースの内側と干渉して抉れています。
何とアウターバレルに挿し込む三本のピンは同じモノではなく、微妙に長さと太さが異なる二種類のピンが使用されていました!

パーツリストを見ると一目瞭然です。

 ・ インナーバレル → インナーバレルピン
 ・ フィードランプ → フィードランプピン(二本)

コレが正しい組み込み方です。
前方にインナーバレルピン、後方に二本のフィードランプピンを挿し込みます。



今回はこの様に間違えて組み込んでいました。
インナーバレルピンと下側のフィードランプピンを逆に挿し込んでいます。



ハンマーで叩き込まないとインナーバレルにピンが入らなかった事と、バレルベース内側が両側とも抉れている事から、インナーバレルピンはフィードランプピンより細くて長いと推測されます。
見た目では判別できないコンマ数ミリの違いだと思います。



インナーバレルに叩き込んだフィードランプピンはそのままでも問題ありません。特殊形状のインナーバレルなので社外品に交換する事もないでしょう。

フィードランプに挿し込んだインナーバレルピンはすぐに気付けば簡単に抜けたのでしょうが、フィードランプを組み込んだアウターバレルを強引に叩き込んだために、バレルベース両側に押し曲げられていると思われます。
フィードランプをブチ壊す勢いでガンガン叩いてようやく抜けました。



アウターバレルが割れてしまいましたが、ピンは取り出せました。
フィードランプは残り一本のフィードランプピンで固定されているので問題ありません。それにこの部分はバレルベースにピッタリ収まる部分なので、フィードランプ両側のABS樹脂が多少割れていても作動に問題はありません。

割れたアウターバレルの表面を棒ヤスリで整えます。
組み込めば見えなくなる部分なので棒ヤスリで十分です。
反対側も同じ様に削ります。



そしてバレルベースの抉れを棒ヤスリで削り落とします。
応急処置ですが仕方ありません。可能な範囲でツルツルにしておきます。
反対側も同様の処置を施します。



ようやくスムーズにアウターバレルが着脱できる様になりました。
問題解決です!
バレルベースにアウターバレルを挿し込み、バレルピンで固定します。



問題が解決したのは嬉しいのですが…
せめて取説に「三本のピンには区別があります」位は書いていて欲しいです。
「分解(組み立て)Ⅱ」ページにはピンの種類など一切記されていません。これでは間違える方が続出すると思うのですが…
皆様もこのピンにはくれぐれもお気を付け下さい。

問題が解決したので作業を続けます。

スライドストップを取り付けます。
パッと見はとても簡単そうな部品構成なのですが、スライドストップスプリングを上手くスライドストップ裏側のピンに引っ掛けるのが意外と苦労します。



ここまで組み立てて状態です。
もう完成は目の前です!



それではリコイルスプリングを挿し込…さ、挿し込めません!
ここまできてまたトラブル発生です!

KSCマカロフPMのリコイルストップには方向性があります。
スライド先端側は太いままで、チャンバー側が細く絞られています。
チャンバー側はアウターバレルの直径とほぼ同じ位の太さです。



写真の時系列がコロコロ変わるのはご了承下さい。

ネジ切り部分を接合したアウターバレル先端部分は、純正の直径11.2mmから12.2mmに太くなっています。
1mmも太くなったのでは、リコイルスプリングが入らないのも当然です。

純正でアウターバレルの直径と同じ位まで細く絞っていたのには理由がある筈です。恐らく絞り込まないと作動に影響があるのでしょう。

ネジ切り部分がギリギリ入る程度にスプリングを広げました。スプリングを着脱する際に軽く引っ掛かる太さです。これ以上広げてスカスカにしてしまうと作動に問題が生じる気がします。





コレでようやく組み込めましたが、スプリングの端っこに引っ掛かれてアウターバレルの青組がボロボロに剥がれてしまいました。
写真では綺麗に見えますが、実際は文字通りボロボロ状態です。
塗り直し必至です…

ようやく最後の部品になりました。
グリップです。

青組が剥がれない様に慎重に挿し込んで、グリップスクリューで固定します。
ただこれだけですが、ここまでトラブル続きだったのでドキドキします。



これですべての作業が終了しました!

スライドを組み込めば完成です!
先端部分の直径を広げているので組み込む際にリコイルスプリングが飛び出しそうになりますが、飛び出す心配はありません。
それでも純正よりは気を遣いますが…


完成しました!
KSCマカロフPM改『サプレッサーバレル仕様』です!





イカつい…
物凄くイカつくなりました。
迫力満点です!





「カスタム」と言えるのはネジ切りバレルの製作だけで、後はリューターで削ったスライドとバレルとグリップを塗装して「ボロボロ仕上げ」を施しただけです。

カスタム以上に分解/組立で苦労しました。
苦労どころか「大苦戦」と言っても過言ではありません…





サプレッサーを装着するとエグい!
どう見ても「悪の銃」です! 正義の味方は絶対に使わない銃になりました!
でもそこがカッコイイです!



ハンマースプリングの地肌は赤銅色です。
スプリング鋼に焼き入れを施しているのでしょうか? リアハウジング内の焼結金属部品と同じ様な色合いです。


サプレッサーバレルと「ボロボロ仕上げ」です。
今回はこのためだけに頑張りました!



とまぁ、見た目はバッチリなのですが…

現状ではまともに作動しません。
とりあえず組み上げて写真を撮っただけなので、スライドの動きが物凄く固いです。

しかもリコイルスプリングの組み込み方によってはスライドが全く動きません。一度組み込んで動かなければバラしてスプリングをちょっと回して組み立て、また動かなければまたバラしてスプリングをちょっと回して…という状態です。

スプリングの向きによっては「シャコン!」とスムーズにスライドが入る事があるので、スプリング後端の絞り込みを調整して綺麗な真円に加工しなければいけないのかも知れません。



とはいえ繊細なKSC製品をここまで弄った事で自信が付きました!
難しいからと敬遠していてはウデが上がりません。
挑戦あるのみです!

しかし、作動調整にどのくらい時間がかかるのやら…
全く見当も付きません。
なるべく早く吉報をお届けできる様に頑張ります!

次回に続きます!




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