TK1911T cal. 44TK⑧

スライドとアウターバレルの塗装が完全硬化しました。
さすがはウレタンプライマーサフェーサー! 表面の凸凹が完全に消えています!
流行りの『痛銃』ならコレで完成でも構わないでしょうが…



ウレタンプライマーサフェーサーを削り落として表面を研磨します。
溶きパテより格段に硬いので疲れます。240番のペーパーでもなかなか削れません。特に曲面部分は削り過ぎに注意しながら作業するので気を遣います。

研磨が終わるとこんな感じになります。
パッと見は前回とあまり変わりませんが、細部の滑らかさは比較になりません。



スライドです。
滑らかさが格段に向上しているのが一目瞭然です。
指で撫でるとツルツルです!







アウターバレルもツルツルになりました。
シリアルナンバーが施された平面も良い感じに仕上がりました。





そしてF/Rサイトです。
塗料の微粒子が凸凹の隅々まで入り込んだおかげで凸凹が消えました!
ツルツルピカピカです!



それでは塗装に移ろう…の前に、どうしても気になる点があります。
今回のカスタムを始めた時から気になっていた「疑問」です。
何かといえば…







上の二枚はTK1911Tの試作モデルと市販モデル、そして最後はP226 TK-Proの銃口部分の写真です。これらの写真にはある共通した特徴が見られます。
何かといえば…

「ライフリングがないのではないか?」

試作モデルの写真で顕著ですが、ライフリングが全く見られません。
実銃のライフリングがエアガン/モデルガンの誇張された造形よりもずっと控え目な形状なのは認識していますが、上の写真では「控え目」どころか完全にツルツルでライフリングらしきモノが全く確認できません。


色々調べると、やはり非致死性ゴム弾を使用する拳銃のバレルにはライフリングが施されていない事が判りました。
10×28mmテクリム弾を使用する別の銃の動画をキャプチャーした写真です。バレルを光に透かせて内部の形状を確認している場面です。



ライフリングがありません! 見事にツルツルです!
やはり非知性ゴム弾を使用する拳銃のバレルにライフリングは施されていませんでした! バレル内部は完全な筒状です!

「それでは飛距離が伸びないのではないか?」

ライフリングが施された銃腔内に弾丸を通過させる事で弾丸を進行方向に対して垂直方向に回転させ、その回転によるジャイロ効果で弾丸の直進安定性と飛距離を確保するのは銃火器の常識です。



ライフリングはコチラです



ジャイロ効果はコチラです


銃腔にライフリングがないと火縄銃と同じ「滑腔砲」になってしましますが…
コレに関して驚くべき写真を見つけました!
エアガンの写真ではありません。10×28mmテクリム弾を使用する拳銃のバレルをフィードランプ側から撮影した写真です。


コレは衝撃的な写真です! まるでエアガンの様なホップパッキン?らしき物体がバレル上部に設置されています!
いくら非致死性ゴム弾とはいえ、実銃用薬莢と実銃用火薬を使用する弾薬をホップパッキン付きのバレルで発砲するのか!? と思いました、が…

さらに調べると決定的な資料が見つかりました!
やはり非致死性ゴム弾を使用する拳銃のバレルはホップ機能付きの非ライフリングバレルでした!





非致死性ゴム弾仕様の拳銃は飛距離を稼ぐために、ホップパッキンならぬホップ棒?を圧入?溶接?したホップ機構付きのバレルを使用しています。しかもバレルはストレート形状ではなく、内径が段階的に細くなっていく特殊形状です!

しかし上の写真のホップ棒の配置では、最初にバックスピンが発生した直後に正反対のトップスピンが発生すると思うのですが…



非致死性ゴム弾にも色々な硬さと大きさがあります。薬莢の大きさも火薬の量も異なれば発射するバレルの長さも異なります。そのために銃ごとに最適なホップ機構を導入しているのでしょう。
製造会社によって方式が違う可能性も考えられます。

上の三枚の写真は「オホートニク社」というテクリム社とは別の会社が製造している非致死性ゴム弾仕様の拳銃 "GRAND POWER T15F" のモノです。
珍銃好きの私もココまでくるとお手上げです…
コチラです



動画はコチラです。
30分以上ある長い動画ですが、この銃を一番判り易く解説した動画です。冒頭で赤いシャツのお兄さんが "オホートニク" と言っているので社名は合っていると思いますが、あまり自信はありません。
ま、日本では100%製品化されない銃なので関係ありませんが…


米国ではこの手の非致死性ゴム銃を "Russian Popgun" とバカにする風潮がありますが、子供に.22LRの実銃を持たせる替わりに非致死性ゴム銃を持たせれば悲惨な死亡事故が減ると思います。
しかしそんな事をすると「テッポーって安全だから!」とバカスカ銃を撃ちまくる迷惑な大人に育ってしまいそうです。国が違うと「常識」も違いますね…

"popgun(おもちゃのテッポー)" はコチラです



それはさておき…

これでようやくTK1911Tの動画に登場する「謎の場面」の意味が解りました。
動画の後半に放電加工?でバレルの側面に穴を開けている場面が登場するのですが、今まで「なぜバレルの側面に穴を開けるのか?」全く理解できませんでした。
実はこの場面こそ「ホップ棒を設置する溝の加工作業」を捉えた貴重な画像でした!








右側のバレル五本は右側にホップ溝が施されていますが、左側のバレル三本は左側にホップ溝の加工が行われています。恐らく両側にホップ棒を設置するのがテクリム社がTK1911Tで採用している方式なのでしょう。

鉛の弾丸をライフリングの施されたバレルから発射する「普通の拳銃」の常識は非致死性ゴム銃には通用しない様です…



それはさておき…
謎が解けてスッキリしました!
TK1911Tのバレルにライフリングはありません!


という訳でアウターバレルのライフリングを削り落とします。
マッドさんには申し訳ない気がしましたが、ライフリングの「衝撃の事実」はつい最近調べて判明したコトなので仕方ありません。



ライフリングなしのツルツル状態です。
ますます怪しさが倍増しました。

バレルブッシングも加工します。
テーパー加工部分にジーナスで接合したYG(イエローゴールド)のサークルがバレルブッシング前面から0.3mm突出しています。
コレをバレルブッシングとツライチになるまで削ります。





バレルブッシング前面も研磨して完全なツライチにしました。
この状態でインディのドブ漬けブルー液で黒染めします。





綺麗に染まりました。
YGはブルー液に反応しません。金色のままです。しかしコレではパチモンの高級時計みたいなイヤラシイ配色なので、マスキングしてサークル部分だけウレタンメタリックシルバーで塗装します。



という訳で…
スライド、アウターバレル、バレルブッシング、F/Rサイトの四点を塗装しました。
「時間的に真っ暗だったので外灯とLEDフラッシュライトの明かりで塗装した」のは先のマルシンM39の記事で書いた通りです。





隙間のジーナスまでシルバーになってしまったので余計な凸凹が目立ちますが、1mm以下の隙間なので気になりません。この程度なら許容範囲内です。

塗装したアウターバレルと合わせてみます。





バッチリです!
バレルブッシングにカラーが圧入されたTK1911Tの雰囲気が良く出ています!
アウターバレルも同じウレタンメタリックシルバーなので色の統一感は完璧です!
ライフリングのないバレルも良い感じです!

ココまで上手く行けば何も言う事はありません!…と言いたいトコロですが、実はアウターバレル全体の塗装が上手く行っていませんでした。上の写真でもマズル部分の表面がザラザラしているのが確認できます。

上手く行かない時はとことん上手く行かないモノです。
どう上手く行かなかったのかはお楽しみ?です。

次回に続きます。

(さらに…)

TK1911T cal. 44TK⑦

3DプリントされたスライドとアウターバレルとF/Rサイトは予想を上回るザラザラ状態でした。コレをキッチリ研磨してツルツル状態にするのは大変です。
マッドさんは「240番程度のペーパーで気持ち良く削れますよ」と軽く仰いますが…

迷っていても仕方ありません!
スライドを240番のペーパーで研磨します!





確かに気持ち良く削れます。
PA12製スライドそのものがカチカチなのでチカラを加えても歪んだり曲がったりしません。普通のABS樹脂スライドとは別次元の剛性なのでガシガシ削っても安定感があります。メタルスライド並の剛性感です!
「狙った通りに削れる」という意味では削り易い素材と言えます。







曲面部分を研磨します。
硬いPA12素材も240番のペーパーにかかれば気持ち良くシャカシャカ削れます。
エッジがタレない様に注意しながら表面を研磨します。

曲面部分をすべて研磨した後に左右の平面部分を研磨します。
物凄い量の切粉が舞い上がるので防塵マスク必須です。ナイロン素材の切粉などカラダに良い筈がありません…





内側のレール部分も忘れずに研磨します。
作動確認で問題がなかったとはいえ、やはりレールがザラザラなのは頂けません。
ガシガシ削ってツルツルにしておきます。





アウターバレルも研磨します。
240番のペーパーを巻き付けてゴリゴリ削るのですが、ザラザラの表面にペーパーがガッチリ食い込んで簡単には削れません。最初は軽くショリショリ回して少しずつ削り、徐々にチカラを入れてゴリゴリ削ります。
最終的にペーパーが抵抗なく回るまで研磨すればOKです。







とりあえず最初の研磨作業は終了です。
なぜ「最初」なのかといえば…次の写真をご覧下さい。
ガッツリ研磨した筈なのに表面に白く荒れた部分が見られます。しかもこの荒れた部分はそこら中に存在しています。



前回の記事で3Dプリントが素材を積層構造で造形する原理を説明しました。この積層構造のおかげで完成した造形物の表面には必ず凸凹の積層跡が残ります。
積層跡はただ単にザラザラなのではなく「凸凹」です。



表面をペーパーで研磨すれば「凸」部分は平滑になりますが「凹」は何かで埋めない限りそのまま残ります。写真で白く荒れている部分は積層跡の「凹」部分です。
表面をアップで撮影すると一目瞭然です…



物凄い荒れ具合です。理論的には凸と同じ数の凹が存在するので当然ですが、この荒れ具合はちょっと引いてしまいます。
しかしコレを処理しなけれな表面がツルツルになってくれません。
気が遠くなります…







マッドさんは「溶きパテで凹部分を埋めて研磨すると綺麗になります」と仰います。あじゃさんも溶きパテで凹の処理をしてらっしゃいます。

という訳でクレオスのサフェーサー500を塗布します。凹部分が広範囲に広がっているので結果的に表面全体をサフェーサー500で塗装しました。
上の写真で刻印部分をケガキ棒で追い彫りしているのはそのためです。











溶きパテが乾燥すれば再び240番のペーパーで研磨します。
もっと番手のいペーパーでも構わないと思いますが、今回の研磨作業は一貫して240番のペーパーを使用しました。

二回目の研磨が終わった状態です。
凹の部分が溶きパテで埋まっているのが判ります。









表面を詳しく見てみます。
網目の様に縦横に走る積層模様が綺麗というか面白いというか「3Dプリントってこういう風に造形されるのね」というのが目視できる状態になっています。













普通はコレでツルツルになるのですが、表面を触るとまだザラザラしています。
溶きパテで綺麗に埋まらなかったのか研磨の最中に溶きパテが取れてしまったのか、処理できていない凹部分がアチコチに存在します。

スライドの写真では判別し難いですが、アウターバレルの写真では処理できていない凹部分が確認できます。





F/Rサイトの写真ではさらにハッキリ凹部分が見られます。細かいパーツなので上手に研磨できなかったのが原因です。
特にRサイトは形状が複雑なので研磨が大変でした。おかげで沢山の凹部分が残ってしまいました。





再び溶きパテを塗布して研磨しても同じ様な結果になりそうです。
そこでイサム塗料のウレタンプライマーサフェーサーでスライドとアウターバレルとF/Rサイトを塗装しました。これなら塗料の微粒子が凹部分の隅々まで入り込んで確実に埋めてくれる筈です。

ウレタン塗料といってもサフェーサーなのでカチカチにはなりません。普通のペーパーで十分研磨できる程度の硬さです。
とはいえ溶きパテよりは格段に硬いのですが…



完全硬化まで78時間放置してから三度目の研磨を行います。
今回はとにかく研磨です! 部屋と服が粉っぽくなるのは仕方ありません。とにかく研磨あるのみです!

世間では「3Dプリントで手軽に造形♪」と簡単に言われていますが、実際に3Dプリントされた造形物を観賞に堪える外観に仕上げるためには物凄い労力が必要です。
何事もやってみないと判らないモノです…

次回に続きます。

(さらに…)

祝! 5000訪問!

さて、9月に4,000訪問を達成してから二ヶ月経ちました…

やりました! 5,000訪問を達成しました!
前回の4,000訪問に続いて二ヵ月での+1,000訪問達成です!
凄い! 素晴らしい! パチパチパチ!



9月から今月までに製作した銃はクラウンモデルS&W Bodyguard380と現在進行中のTK1911Tだけです。Bodyguard380は色違いの二機種を製作しましたが、TK1911Tは3Dプリントの待ち時間が長かったので記事が間延びしてしています。
ロシア製1911クローンを最先端の3Dプリントを駆使して製作するというおバカな記事を呆れずにご覧頂いた皆様、ありがとうございました!

次は思い切って10,000訪問を目指します…などと調子に乗るのは良くありません。何事も謙虚さが肝心です。

という訳で次は6,000訪問を目指します!!

冒頭の写真はファッションショーのランウェイ(花道)です。
私立高校のファッションデザイン科が毎年実施している学校行事なので基本的に撮影NGなのですが…なぜか手元に写真があります。なんでだろう?

しかもコレは本番の写真ではなく、照明のシュート(場面毎の最終確認)風景です。
よく見ると客席の椅子もまだ並べられていません。
こういう写真は舞台関係者しか撮影できないと思うのですが…



こんな写真もありました。ランウェイの建て込み(舞台を造る事)風景です。
平台や開き足が丸見えです。平台の下側にはミニサイズのホリゾントライトが仕込まれています。舞台上にはまだバトン(舞台上方の多目的吊り棒)に吊り込んでいない各種照明が沢山並べられているのが見えます。
まるで次の日に高校生がやってきて椅子を並べる様な雰囲気ですね。

なぜ私のデジカメにこんな写真があるのか不明です。ちょうどこの時期にカラダのアチコチが筋肉痛で痛かったのは覚えていますが…
ま、私はフツーのサラリーマンなので、こういうお仕事の経験は○×△…


先日、オクで素敵な商品を見つけたので落札しました。
マルシンのS&W M39のモデルガンです。比較的最近のHW樹脂モデルです。



とはいえ箱は痛んでいます。
コレばっかりは仕方ありません、私も気にしません。
レトロ調のデザインなので多少痛んでいても違和感を感じません。





とても雰囲気の良い銃です。
S&Wオートは好きです。型番が三桁の第二世代モデルはムダにゴテゴテした感じが好きではないのですが、この第一世代モデルと第三世代モデルはとても好きです。

グリップは同じタイミングで出品されていたマルベリーフィールドの木製グリップを落札して装着しました。生産数が多いからなのか木製グリップも安価で流通しています。プレ値が付く製品ではない様です。
しかし握り心地は比べ物になりません! 何といってもチェッカリングの立ち具合が全く違います! やはりグリップは木製に限ります!



実は同じ時期にMGCのM39が倍以上の金額で出品されていましたが、MGCは専用スモールカート仕様なのに対してマルシンは各種リアルサイズカートが使用できます。
それが決め手になってコチラのマルシンM39を落札しました。





スライドとフレームの色が微妙に変えられていて好印象です。
HW樹脂の質感と銃の雰囲気がバッチリ合っています!塗装しなくてもHW樹脂の質感の良さだけで十分満足です!

実は落札する前にM39について色々調べている時に、マック堺さんが海外のどこか某所で実銃M39を撮影してレビューされている動画を見つけていました。
ツートーン?のブルーイングがとてもカッコイイ実銃M39です! グリップのくたびれ具合が最高です!
コチラです


本当は安いABS樹脂モデルを落札してこの実銃M39を塗装カスタムで再現しようと思っていましたが…今回はパスします。
HW樹脂の質感があまりにも良過ぎて勿体ないので次回に持ち越しです。

最近の製品なのでリアル刻印です。
古いS&W製品独特の『&』が郷愁を誘います。





スライド動作も問題ありません。最近はモデルガンの硬いスプリングを引くのが好きになってきました。こればかりはエアガンでは体感できないモデルガンならではの美点だと思います。
スライドをリリースした時に勢い良く「ジャキン!」と閉鎖する音も最高です!

私も昔はメタルスライドを使用していたので「ジャキン!」の魅力は理解していますが、モデルガンの魅力に目覚めた今は「法的にグレーなメタルスライドに走るより安価なモデルガンを購入する方が100倍良い!」と断言できます!





モデルガンなので当たり前ですがエキストラクターはライブです。スライド操作をするとどう動くのか見ているだけでも飽きません。

しかもこのマルシンM39はマガジンセフティもライブです! ハンマーをコックしてマガジンを抜くとトリガーを引いてもハンマーが落ちません。この機能もMGC M39では省略されているそうです。マルシンやるなぁ!

ま、火薬で発火させた時の作動性能はMGCの圧勝だったそうですが…





あまりにも気に入ったので予備マガジンと9mmダミーカートを購入しました!
マルシンM39は少ないとはいえ新品マガジンの流通があります。
現状では実物マガジンは法的にグレーな存在です。合法的にマガジンにダミーカートを装填/排莢できるのがモデルガンの良いトコロです。





HW樹脂と木製グリップとブルーイングされたマガジンとダミーカート。マック堺さんではありませんが「テッポー趣味な人達の大好物」です!
もちろんS&Wオートは大好物です! WAもショーティ.40を生産終了すると言いながら再生産したりせずにフルサイズのS&Wオートを開発して欲しいです。
ま、無理だと思いますが…

という訳でマルシンS&W M39モデルガンHW樹脂モデルでした!



TK1911Tは今日、このM39の撮影を終えた後に最終仕上げを終わらせて第一弾の塗装を行いました。11月も後半になると午後6時以降は真っ暗です。玄関の外灯+LEDフラッシュライトの明かりでなんとか塗装作業を終了させました。

完全硬化まで78時間待った後に刻印にスミ入れを行い、ウレタンつや消しクリアーを塗装してまた完全硬化まで78時間待って組立作業に移ります。

詳細は次回です!

(さらに…)

TK1911T cal. 44TK⑥

最終確認から待つこと一週間…
遂に届きました!
3Dプリントされたスライドとアウターバレルです!





しかし…
表面が粉を吹いてザラザラしています。
「化石かよ!?」と叫びたくなる程の荒れ具合です!
これはちょっと…

普通に見た状態です。
何となく粉っぽい感じがします。



拡大します。
何やら表面がザラザラして見えます…



さらに拡大します。
もはや正視できない程のザラザラボコボコ状態です!
うわぁぁぁぁ!



え…

気を取り直して解説します。

今回のスライド製作に使用したのはPA12(ポリアミド12)というナイロン系の素材です。耐摩耗性に優れる素材で様々な分野で利用されています。
コチラです



最初に聞いた時は「エアガンにナイロン素材?」と思いましたが、実はHW樹脂も広義のナイロン素材です。ABS樹脂にただ鉄粉を混入してもHW樹脂にはなりません。両者は元になる素材が異なります。
PA12は耐衝撃性に優れたエアガン向きのナイロン素材です。むしろ鉄粉を混入するHW樹脂の方が質感と引き換えにナイロン素材の耐衝撃性を失っていると言えます。



3Dプリントは素材を下から上へ積み重ねて対象物を造形します。完成した造形物は薄い板が何百枚も重なった積層構造になっています。3Dプリントにも色々な方式がありますが、素材を積層して対象物を造形する方法論はすべて同じです。

このため素材の積層方向と垂直方向の断面は粒状の凸凹になり、水平方向の断面は線状の凸凹になります。
これが3Dプリントされた造形物がザラザラになる理由です。



実はPA12を3Dプリントすると完成品がザラザラ状態になるのは知っていました。
オラガバニストのあじゃさんが3Dプリントした部品を使用してカスタム銃を製作してらっしゃいます。
最近の記事はコチラです

しかし知識として知ってはいても、実際に自分が依頼した部品がザラザラ状態で送られてくると驚きます! ブラスト処理どころではない「化石状態」です! 最初は失敗作かと思いました!



とはいえ造形そのものは正確に行われています。
Fサイトもセレーションも極小の刻印もビシッ!と成形されています。
ダストカバー部分の曲線など素晴らしい完成度です。

スライド右側の刻印も正確に刻まれています。
工法が異なるので機械彫りのシャープな刻印とは印象が違います。3Dプリントの刻印は金型成型の刻印に似た雰囲気です。







上から見ると3Dプリントの実力がよく判ります。
波状のセレーションが一本一本正確に刻まれています! コレは凄い!
F/Rサイトの造形も素晴らしいです!





実はこのF/Rサイト…なんと取り外し可能です!
事前に聞いてはいましたが、ホントに取れると感動します!
コレはF/Rサイトとアリ溝の双方が完璧に同じ寸法で造形されていなければ実現不可能な「神業」です!
凄まじい造形能力のさです!





マッドさんのエアガン用アレンジでFサイトにドットを入れて頂きました。コレでRサイトの二点ドットと合わせて三点ドットで標的を狙えます。
F/Rサイトのさもバッチリ合ってます! 完璧です!





アウターバレルの刻印も正確に刻まれています。
凸凹が酷いので判別し難いですが…



先端の段付き形状も完全再現されています。
こういう複雑な形状を完璧に再現してしまう3Dプリンターは本当に凄いです。
超高性能な超高級3Dプリンターだからこそ可能な造形です。



それではスリ合せと作動確認のために内部パーツを組み込みます。
いくら外観が良くてもパーツが組み込めないのでは意味がありません。安い社外スライドの様にアチコチ削らないと入らないかと思いきや…





なんと一発で入りました! 完全ポン付けです!
内側の複雑な形状まで純正スライドと完全に同一です! コレは凄い!

インナーバレルも問題なく入ります! コチラもバッチリです!
実銃TK1911Tに合わせてストレートブローバック仕様で製作して頂いたのでロッキングラグはありません。疑似ショートリコイル機能を完全にオミットしています。
チャンバーカバーとチャンバーが密着しているのが判ります。



おかげでインナーバレルがタイトに収まります! インナーバレルはライフリングの間から僅かに見える程度です。
1911系とは思えないアウターバレルと銃口の細さがポイントです! ココまで細いと異様な感じがしますが、あくまでも実銃を忠実に再現しただけです…



スライドを組み立てます。
リコイルSPガイドも全く干渉しません。完全ポン付けです!
あっという間に完成しました!



分厚いスライドに細いアウターバレル。通常の1911系では見られない光景です。
実銃の試作モデルそっくりになりました。
色まで似ているのは単なる偶然ですが、こういう色も悪くないと思います。





バレルブッシングをご覧になればお判りの通り、前回の記事を書く前にスライドが到着していました。しかし先週今週と仕事が非常に忙しくて記事を書く時間が取れなかったので、先にバレルブッシングを加工して記事をUPしました。

上の写真で中途半端なテーパー加工状態のバレルブッシングを使用しているのはそのためです。記事の順番が後先になってしまいました。


それではスライドとフレームを合体させます!
もちろん不具合は一切ありません! 調整不要のポン付けです!





この状態で3マガジン撃ちましたが全く問題ありません! 綺麗に全弾撃ち尽くしてバシッ!とホールドオープンします!
実は純正スライドよりPA12製スライドの方が少し重いのですが、軽やかに回転してバシバシ発射します。バルブをすべて社外品に交換しているのが効いています!

唯一、組み込みの際に気になったのが…
Anvil製ロングリコイルスプリングガイドです。



サンコーさんのオリジナルブランド "KSK" 扱いの商品を購入ましたが、amazonでこの商品をレビューしてらっしゃる皆様全員が「加工が必要」「擦り合わせが必要」と記されているのが気にはなっていました。

すると案の定…



この突起が邪魔でブランジャーピンを押し込めません! なぜこんな突起が成型されているのか全く理解できませんが、とにかく邪魔です!
とりあえずケガキ棒でブランジャーピンを押し込んで組み立てましたが、分解/組立の度にケガキ棒が必要なのは正直メンドクサイです…

という訳で削り落としました。
ムダに硬いスチール製の突起もハイス鋼の切削ビットにかかれば秒殺です!





コレで普通に組み立てできます。工具ナシのポン付けです。
3Dプリントされたスライドとアウターバレルの素晴らしさを見せつけられた直後だけにイライラが倍増しました!

どう考えても高額な販売価格に見合うクオリティとは思えません!
Anvil製品は定価の半額が適正価格だと思います…



スライドとアウターバレルは素晴らしい完成度です!
加工ナシでポン付けOKなだけでも驚きなのに、擦り合わせナシで快調作動するとは思ってもいませんでした! スライド下側を削る程度の擦り合わせは必要だろうと予想していましたが、良い意味で裏切られました!



3Dプリントは凄いです! ウソ偽りなく驚愕します!
さすがは最先端技術だけの事はあります! 素晴らしいクオリティです!
業務用3Dプリントはコチラです

現状では表面のザラザラを処理しないといけないのが唯一の難点です。
技術が進歩すれば、やがてツルツルの造形物を成型できる3Dプリンターが登場するのも時間の問題なのでしょうが…

次回に続きます!

(さらに…)

TK1911T cal. 44TK⑤

バレルブッシングの加工を続けます。

テーパーリーマーをほぼ垂直まで立てて切削しました。
内部のひっかきキズが前端ギリギリまで達しているのが確認できます。



ここまで強引な切削加工を施してようやく45度程度のテーパー角が付きました。
これ以上無理をするとバレルブッシング前面の輪郭部分がなくなってしまいます。
テーパーリーマーでの切削はコレが限界です。

前回よりもテーパー加工面積が増えたので見栄えが良くなりました。
まずはアウターバレルを引っ込めた試作モデルの状態です。



そしてアウターバレルをツライチにした市販モデルの状態です。
アウターバレル外周の隙間が増えています。パッと見でも「何か違う」のが判る外観になりました。



しかしせっかくマッドさんに市販モデルを3Dプリントしてもらうのですから、市販モデルのコスト削減用カラーが圧入された形状を再現したいモノです。
何か良い方法があれば良いのですが…



色々な方法を考えましたが、どれもイマイチです。
試作モデルの形状で妥協しようと思いかけましたが、ふとした気の迷いでエアガンとは全く関係のないジャンルでweb検索を行ったトコロ…

何と! 奇跡の発見をしました!

コチラです!



女子がアクセサリーを自作する際に使用するサークル(輪っか)です!
商品説明には「直径16mm」というアバウトな表記しかされていません。ホームセンターで売られている商品は正確な寸法が明記されていますが、この手のお洒落アクセサリーにはそこまで詳細な寸法は要求されていない様です…

不安はありましたが10個入りで272円(税込)なので購入しました。
写真の左が表側で右が裏側です。



届いた商品はキラキラ輝く綺麗なアクセサリーです。
素材はYG(イエローゴールド)で表側にアクセサリー業界で『ヒキモノ』と呼ばれるツイスト上の切削加工が施されています。裏側も平滑ではありません。
金色の素材といい無駄に女子力を放つ表面仕上げといい、本来ならエアガンとは全く無縁の存在なのですが…





まさかのジャストサイズです!
厚さ0.6mm×長さ0.6mmでアウターバレル外径との内径差は0.2mmです。
これにはビックリ! おもわずパッケージに『東京マルイ』の文字が記されていないか探してしまう程のピッタリぶりです!





ご覧の通りテーパー加工した部分にピッタリ収まります!
何という偶然なのでしょう! コレでカラー圧入バレルブッシングが再現できます!

早速加工します!



裏側を800番のペーパーで平滑にします。
さすがはYG、キラキラして非常に綺麗です。女子の皆様はこういう商品を購入してイヤリングやネックレスを自作するそうです。
「綺麗だけど原価は格安だよね」と思ってもそっとしておきましょう…



テーパー部分も800番のペーパーで表面をツルツルにします。
細かいトコロですが仕上がりに差が出るので手抜きはできません。
念入りに研磨します。

実はこのサークル、ブッシングに乗せた状態ではツライチではありません。
テーパーリーマーでガッツリ切削していますが、あくまでもバレルブッシングの角を斜めに削ってあるだけです。深さは0.6mm程度しかありません。
サークルは0.3mm地点に乗ります。なので前方に0.3mm突出します。



ま、YGはそんなに硬い素材ではないので後から高さを削り落とす事は可能です。
この段階では高さを気にする必要はありません。

ジーナスでバレルブッシングとサークルを合体させます。
サークル表側のヒキモノ加工にジーナスが入り込んで良い具合にガッチリ固まってくれそうです。
本当に「今回のカスタムのために販売されている商品」としか思えません!



慎重に前後左右の傾きを調整します。
後はジーナスが完全硬化するのを待つだけです。今の時期は昼間は暖かいのですが朝晩は冷えます。最低でも24時間は放置した方が良いでしょう。
ま、失敗してもあと9個あるので気楽にいきます。

YGの金色がスフェリカルブッシングそっくりです。
硬化後は高価に見える素材を安っぽく見せなければいけません。
おそらくウレタンメタリックシルバーで塗装する事になると思います。

難航すると思われたカスタムが思わぬ方面から進展しました!
やっぱりカスタムは楽しいです!

次回に続きます!

(さらに…)