Randall 1911 Model B111①

11月になりました。今年もあと二ヵ月で終わりです。

先月までの暖かさはどこへやら、11月になった途端に初冬の寒さがやってきました。ここ数年は秋らしい秋がないまま冬に突入していますが、今年もそんな感じになりそうです。

今回から新しいカスタムを開始します。

1911カスタムです。

「またか」と思われるでしょうが…ご安心下さい。今まで誰もやった事のない1911カスタムです(少なくとも私は誰かがこのカスタムを行った記事を見た事がありません)。今まで自分の技量を考えて封印していた、とっておきのカスタムです!

私は架空銃にはあまり興味がありません。それよりも実在する銃を再現するカスタムに魅力を感じます。今回の1911カスタムも相当な変わりダネですが、ちゃんと実銃が存在します。

コチラです!

Randall 1911 Left-Handed Model B111、いわゆる「左利き1911」です!

このランドール製左利き1911シリーズは収集家の間では非常に人気があり、程度の良い個体は物凄い価格で取引される超プレミアムアイテムです。ライフリングまで逆回転にした完全な左右反転1911なので、工業製品としての価値も一級品です。

コチラの個体は2002年に2,500ドルで落札されています。新品同様の程度極上の個体が17年前で2,500ドル(11月8日現在で1ドル109.19円=272,975円)なので、現在は3,000ドル以上に高騰していると思われます。

米国でも左利き1911は相当な異端児です。最初に商品化したのがランドール社で、同社が倒産した後はチャーターアームズ社が「左利きリボルバー」を商品化した程度です。完全な左利き1911を商品化するメーカーは現れませんでした。

左利きのハンドガンが商品化されない理由は「ハンドガンのアンビ化が定着した」からです。手間と時間と費用をかけて左右反転したハンドガンを開発しなくても、各種レバー類をアンビ化すれば事足ります。タクティカル系アンビカスタムの流行も追い風になり、左利き1911は過去の存在になりました。

そんなアンビ化全盛の2012年に、超高級ラグジュアリー系1911メーカーのカボット社が突如ショットショーで左利き1911を発表しました。コチラもライフリングまで逆回転にした完全な左右反転1911です。同社は現在も左利き1911 "S100 SauthPaw" をラインナップする唯一のメーカーです。

この "S100 SauthPaw" はMSRP(メーカー希望小売価格)4,695ドル(512,647円)~というとんでもない高額商品です。いわゆる「他では手に入らない」少量生産の超高級ラグジュアリー系1911として生産されている商品なので、ランドール製左利き1911とは趣が大きく異なります。富裕層向けの商品です。

ランドール社の前身は1950年代に創業した航空機部品修理会社KEN-AIR社です。同社の社長ケン・ルー氏と、友人で当時チャイナエアライン社のアドバイザー職に就いていたラッセル・ランドール元空軍准将(第二次大戦の英雄らしい)は、銃器産業への参入で意気投合します。

1981年にランドール元准将の名声を借りた "Randall Firearms Company" を創業して銃器開発を開始します。そして1983年6月に航空機産業で培ったステンレス加工技術を活用したオールステンレス製1911 "A111" の生産を開始しました。

始めて商業的に成功したオールステンレス製1911として有名なのが、1977年に生産されたAMT製ハードボーラーです。初期のハードボーラーはフィーディングランプに問題を抱えており、それが "ハードボーラー(弾選びが大変な銃)” の名前の由来になった事(ラウンドノーズ弾以外の弾薬を使用すると作動不良が発生する)は有名です。

その後もいくつかの小規模メーカーがオールステンレス製1911の商品化を試みましたが、ステンレス特有の "かじり” 現象を克服できすに終わりました(初期ハードボーラーのフィーディングランプ問題も一種のかじり現象)。

"かじり" はステンレスの「摩擦係数が高い」「熱伝導率が低い」「熱膨張率が高い」性質により、高速で回転/往復運動するステンレスが摩擦熱で膨張して対象物に密着する焼き付き現象です。

ランドール社は高度なステンレス加工技術でかじり現象を完全に克服して、オールステンレス製1911マガジンも始めて商品化しました。"The Only Stainless Steel Fits For The Duty" のスローガンと共に、オールステンレス製1911バリエーションモデルを次々と販売します。

この事から「オールステンレス製1911を始めて成功させたのは小規模メーカーではAMT社、大量生産メーカーではランドール社」と言われます。ステンレス特有のかじり現象がいかに克服困難な問題であったかが窺い知れます。

ランドール製1911は2モデルに大別されます。

・ 右利きモデル(モデルコードA***)
・ 左利きモデル(モデルコードB***)

スライド長は三種類です。

・ フルサイズ(モデルコード*1**)
・ コマンダーサイズ(モデルコード*2**)
・ カーチス・ルメイ(モデルコード*3**)

左利きモデルも特徴的ですが、カーチス・ルメイも特徴のあるモデルです。

これは東京大空襲で有名なカーチス・ルメイ元空軍大将(東京大空襲時は少将)が、自分がデザインした1911を商品化して空軍コマンド部隊で制式採用しようとコルト社に打診したものの断られたため、知人の勤めるランドール社に依頼して商品化したモデルです。

正式名称は "Curtis LeMay Four-Star Model" で、カーチス・ルメイの名前と大将の階級章である四つの星が刻印されています。他にも角型トリガーガードやベレッタM1934みたいなフィンガーレスト付きマガジンバンパーが独特の雰囲気を醸し出す魅力的なモデルです。

最初は左利きモデルとこのモデルを同時並行で製作しようと思いましたが、日本国内で「鬼畜ルメイ」の異名で呼ばれるカーチス・ルメイの評判があまりにも悪いため、こんなモデルを造った日には世間の皆様からバッシングされる(気がする)ので止めました。

スライド形状は三種類です。

・ 通常スライド(モデルコード**1*)
・ リブスライド+固定リアサイト(モデルコード**2*)
・ リブスライド+ミレットアジャスタブルリアサイト(モデルコード**3*)

使用弾薬は二種類です。

・ .45ACP(モデルコード***1)
・ 9×19mm(モデルコード***2)

S&Wオートの様な分類方法ですが、項目が少ないのでS&Wオートほど難しくありません。各項目を素直に当てはめれば簡単にモデル名が判ります。

左利き+フルサイズ+リブスライド+固定リアサイト+.45ACPのB121。

右利き+フルサイズ+リブスライド+固定リアサイト+9×19mmのA122。

右利き+コマンダーサイズ+通常スライド+9×19mmのA212。

右利き+カーチス・ルメイ+リブスライド+アジャスタブルリアサイトのA331。

ランドール社はこれらのオールステンレス製1911バリエーションモデルを次々と市場に投入しましたが、あまりにも時代の最先端を行き過ぎたために売り上げが伸びず、生産開始から僅か二年後の1985年5月に倒産しました。総生産数は9,949挺でした。

商業的には成功しなかったものの、ランドール社は銃器産業に多大な功績を残しました。今では何という事もないステンレス製の銃器も、その源流はランドール社が1980年代に確立したオールステンレス製1911の大量生産技術にあります。

また左利きモデルで左利きユーザーの要望に真正面から向き合った事が、後の各種レバー類のアンビ化に発展しました。「銃に人を合せる」時代から「人に合わせたセットアップを行う」時代への転換もランドール社の先進的な試みが原点と言えます。

日本ではマイナーどころか誰も知らないランドール製1911はどれも魅力的なモデルばかりです。なかでも左利きモデルは「ありそうでなかった」「誰かやってそうで誰もやってない」美味しい1911カスタムになりそうです!

左利きモデルも多数のバリエーションが存在しますが、今回は一番オーソドックスなフルサイズ+通常スライド+.45ACPのB111を再現します。簡単に言えば「シリーズ'70を左右反転させて細部の形状を変更した」モデルです。これならマルイのシリーズ'70を左右反転加工すれば製作できそうです!

次回からカスタムを始めます。

簡単に「シリーズ'70を左右反転させる」と書きましたが…亜鉛合金製の各種レバー類を左右反転させて正常に機能させるという高度な加工が、大雑把な私にできるのでしょうか?

自信がなくはないですが、今回ばかりはやってみないと判りません!

お楽しみに!

KSC CZ75改ジェリコ941F⑫

完成したジェリコを屋外で撮影しました。

自然光の下で見る鉄色倶楽部 黒組はとてもシブい色合いです。青色成分が一切含まれない、漆黒の鋼鉄の質感がバッチリ再現できました!

刻印部分は研磨スポンジが届かないので、光沢クリアーの塗膜が未研磨のまま残っています。そのため刻印が黒々と輝く仕上がりになりました。

シカゴさんで無可動実銃を見せてもらうと、刻印部分に油脂が入り込んで黒く光っている銃があります。そういう銃は軍手で触っても手がヌルヌルするほど油でギトギトなのですが(シカゴさんは軍手で銃を触るルールです)、刻印の見え方は今回のジェリコとよく似ています。

セレーションの凹部分の光沢クリアーも意図的に残しています。そうする事で凹部分が黒々と輝き、凸部分が引き立つ効果が得られます。凹部分の造形のアラ隠しもできるので一石二鳥です!

セレーション部分とスライド先端部分は特に下地のシルバーを多く露出させています。

イスラエル軍方式では、ホルスターから銃を抜く度にセレーション部分を指でガッチリ掴み、スリングショットでスライドを「ジャキン!」と引きます。ホルスターに抜き差しする回数とスライドを引く回数が非常に多いので、サイドセレーションはもちろんトップセレーションとスライド先端部分も色落ちが激しいだろうと想像しながらダメージ加工を施しました。

逆にスライド後端部分はそれほどシルバーを露出させていません。

F/Rサイトは表面の光沢クリアーだけをダメージ加工っぽく研磨しています。光が研磨キズに当たると色落ちしている様に見えますが、サイトの黒染め被膜そのものは一切削っていません。

他の部分も控え目な露出具合に留めています。ダメージ加工はやり過ぎると途端に安っぽくなるので、サジ加減が非常に難しいです…

フレームのダストカバーがスライド先端部分まで覆う形状なので、リコイルSPガイドロッドが突出しなくても目立ちません。

本当は実銃同様にリコイルSPガイドロッドを突出させたかったのですが…もし大加工の末に突出させていたとしても、これだけ目立たなければ苦労が報われなかった可能性が高いです。

シルバーに輝くCZトリガーと大日本技研レプリカグリップがカスタム銃っぽさを醸し出しています。実銃ジェリコはカスタムパーツが多数流通しているので、トリガー交換やグリップ交換は珍しくありません。

CZトリガーはシルバーのカスタムトリガーという事で…

大日本技研レプリカグリップはグリップが一回り太くなるので握り難くなりますが、グリップ部分がドッシリして実銃デザートイーグルの様な見た目になるのでオススメです!

但し、CZハンマーだけはご愛嬌です…

実銃ジェリコはド派手なカスタムからシックなプチカスタムまで様々ですが、デザートイーグルと同系統の目がチカチカする様なド派手なカスタムが多いです。こういうトコロにもデザートイーグルとの共通性を感じます。

斜めから撮影すると黒組の美しさが際立ちます!

黒組そのものの金属感と黒組の塗膜に施したヘアラインとの相乗効果で、金属的な素晴らしい表面仕上げになりました!

刻印部分と同様に研磨スポンジでまだらな光沢を残した部分も「黒い色」として塗膜表面に残っています。それが黒染めされた金属表面の微細な荒れに見えます!

今までの塗りっぱなし仕上げより、今回の研磨を加えた仕上がりの方が数倍美しいです!

カスタムは経験がモノを言う世界ですが、その中でも塗装は知識や経験の差が如実に表れる部分だと改めて認識しました。もう研磨なしの塗りっぱなし仕上げには戻れません…

ホールドオープン状態で何となくショートストローク?に見えるのは、アウターバレルを2mm短縮したのが原因です。スライドストップノッチはCZ純正スライドと寸分違わぬ位置に設置しています。

ハドソンジェリコと違ってKSC CZ75はキチンとショートリコイルするので、アウターバレルが後退した分だけスライドの後退量が視覚的に少なく見えるとも言えます。

塗装後も作動調整を行った結果、フルオート現象ははぼ完全に発生しなくなりました。突然ガスをブチ撒ける不具合を除けば、正常にBB弾を発射してブローバックと次弾装填を行うまで調整できています。それでも快調作動とは言い難く、何回かトリガーを引かなければ次弾が発射されない事が多々あります…

今回のカスタムの目的は「現代スペックで快調作動するジェリコを製作する」です。その点ではまだまだ不完全な状態ですが、外装加工と塗装が上手くできたので良しとします。

時間の経つのは早いもので、5月に始めたこのカスタムが完成したのは今月10月です。マッドさんからスライド/フレームその他が帰ってこなくて何もできなかった2ヵ月を差し引くと、今回のカスタムに費やした期間は実質3ヵ月です。

気が付けば5月25日(土)26日(日)に開催されたBUCK-TICK初の幕張メッセ公演『ロクス・ソルスの獣たち』のライブBlu-ray&DVDトレーラーが公開されていました! もちろん予約済みです!

奇しくも今回のカスタムと同じ5月に行われたライブなので、なんとなく感慨深いです…

幕張メッセまでクルマで行くのは無理なので、電車を乗り継ぐ事になります。しかしwebで「乗り継ぎ検索」をすると、どうやっても当日日帰りで香川県まで帰れません。東京で一泊せざるを得ませんが、それでは交通費約7万円+宿泊費約1万円=約8万円…

こういう特別イベントは今まで何回もありましたが、日本武道館とか日比谷野外音楽堂とか関東ばかりなので参加できません。

たまには西日本でも開催して欲しいです…

という訳で、CZ75改ジェリコ941Fはこれで終了です!

機会があればロケに行きたいです。作動がイマイチとはいえ、正常にBB弾を発射してブローバックするまでには調整ができています。上手く行けばジェリコ初の標的射撃ができるかも知れません!

ハドソンジェリコ(外装だけですが)の性能は如何に!?

期待せずにお待ち下さい。

次回から新しいカスタムが始まります。今までアイデアはあったものの、自分の技量を考えて封印していたカスタムです。本当は次のカスタムは「塗ってグリップを交換するだけのお手軽1911カスタム」にする予定でしたが、なんだかヤル気が出てきたので予定を変更しました!

お楽しみに!

KSC CZ75改ジェリコ941F⑪

塗装を開始します。

今回のジェリコFは「ダビデの星」刻印が施されたイスラエル軍制式採用モデルを再現しています。実際に軍隊で使用された銃なので、程良いダメージ具合が威圧的なオーラを放つ、貫録のある外観を呈しています。

第三世代ジェリコまではブルーイング仕上げです。第四世代から表面仕上げが特殊コーティングになりますが、イスラエル軍用モデルは第四世代以降もブルーイングが継続されます。

米国市場モデルの第四世代ジェリコFです。このモデルからアンダーレールが標準装備されて現代スペックになりました。表面仕上げは黒色の特殊コーティングです。

イスラエル軍用モデルの第四世代ジェリコFです。同じ第四世代ジェリコFながらトリガーガードやセフティの形状が微妙に異なる独自形状…というよりも「第四世代ジェリコのアンダーレール非装着モデル」な趣のモデルです。表面仕上げはブルーイングです。

何となく「イスラエル軍がブルーイング仕上げに拘るので、IWI社がイスラエル軍用モデルだけ特別にブルーイング仕上げで納入している」感じです。アンダーレールなしの独自設計も、イスラエル軍の要求スペックを満たすためにコスト度外視で少量生産した雰囲気が漂います。

民間モデルのPVに登場するのはすべて特殊コーティングの第四世代ジェリコです。これを観ても「イスラエル軍用モデルだけがブルーイングの特別仕様」なのが想像できます。

余談ですが、"イスラエル陸軍スペシャルフォース大佐" というヒトが「イスラエル軍方式のグリップフォーム」などを紹介する動画があります。この手の動画はTTI等の米国式がほとんどなので新鮮で面白いです。コメント欄を読むとメチャクチャ古い方式らしいので(第二次大戦中のレンジャー部隊がやってたとか)、実用的かどうかは疑問ですが…

特に肘を突き上げてスライドを引く動作が大袈裟で面白い! 『マトリックス』と『ジョン・ウィック』を足し合わせた様な動作が仰々しくてカッコイイです!

ハナシが脱線しましたが…

今回は「ブルーイング仕上げの銃が使い込まれてダメージを受けた感じ」を塗装で再現したいと思います!

まずスライド/フレームにミッチャクロンを吹き、イサム塗料のウレタンメタリックシルバーで塗装します。作動がアレなのでレール部分は塗装したくないのですが、マスキングが難しい形状なので、無理にマスキングはしませんでした。

完全乾燥した状態です。

拭きっぱなしなのでザラザラです。ウレタン塗料は粒子が大きいので特にザラザラが目立ちます。今まではこのザラザラ状態で満足していましたが…

前回、US&S製1911をブルーイングする前段階で、ローバルRの塗膜をピカールと600番のペーパーで磨いてツルツルにしました。あの "ツルツル感" を知ってしまうと、もう吹きっぱなしのザラザラ状態には満足できません…

そこで今回は3Mの研磨スポンジを用意しました!

ミディアムからウルトラファインまで単品で揃えるのはメンドクサイので、amazonで販売されていたセット商品を購入しました。ミディアム、ファイン、マイクロファイン、スーパーファイン、ウルトラファインの5種類が1枚ずつ同胞されたお得なセットです!

スーパーファインで塗膜を研磨します。ヘアラインを入れる様に一定方向にスポンジで擦ると、あっという間にザラザラがなくなって美しい塗膜に変身します! コレは凄い!

削り過ぎるとABSの地肌が出てしまうので要注意です。

ピン穴の塗膜を削ります。この作業を怠るとピンを挿し込んだ瞬間に塗膜が「バリッ!」と剥がれてしまうので、すべてのピン穴とパーツ取付部分の塗膜を削っておきます。

スライド上面の反射防止リブ内に細かい凸凹が残っているので、模型用の精密ナイフで凸凹を削って綺麗に整えます。

研磨その他が終わるとこんな感じになります。

まだダメージ塗装の下地塗りの段階ですが、今までの吹きっぱなし仕上げとは比較にならない美しさです! ひと手間加えるだけで、ここまで美しい仕上がりになるとは…

塗装は奥が深いです。

今回は「黒っぽいブルーイング仕上げ」を再現するために、鉄色倶楽部 黒組を使用します。今まで青組は何回も使用していますが、黒組を使うのは実は今回が初めてです。

「黒々としたジェリコの質感を再現するには黒組しかない!」とショップを探すと…なかなか売っているお店が見つかりません。青組もそうですが、GスミスSの塗料は意外と売っているお店が少ないです…

スライド/フレームとレバー類を黒組で塗装します。レバー類は下地塗りなしでいきなり黒組を塗りますが、今回はレバー類のダメージ加工は行わないのでOKです。

完全硬化した状態です。

黒々とした深みのある色合いが美しい! 青組ともクレオスの黒鉄色とも異なる、青色成分や茶色成分が全く含まれていない純粋な黒色メタリックです!

研磨を考慮して厚めに塗装しましたが、概ね綺麗に塗装できています。刻印が消えているとかエッジがタレているとか、そういう不具合は見られません。

レバー類も綺麗に塗れました!

今回は「折角の完全ワンオフ製作のレバー類にダメージ加工するのは惜しい」のと、今までの経験から「目立つレバー類にダメージ加工を施すと銃全体が必要以上にボロボロに見える」のとで、このふたつのレバーにダメージ加工は施さない事にしました。

しかし…

スライド左側面が白っぽくくすんでいます。なぜココだけが白くなるのか理由は解りませんが、この一個所だけが白くなっていてツヤもありません。

タレには細心の注意を払っていましたが、フレーム左側の一個所だけがタレてしまいました。薄く塗れば絶対に起きないミスですが、厚く塗ろうとすると大抵どこかタラしてしまいます。

塗装のテクニックはまだまだ初心者レベルです…

今までの塗りっぱなし仕上げだと発狂しそうな状態ですが、今回は研磨します! ミスした部分も研磨すれば修正できます!

まずピン穴やパーツ取付部分の塗膜をキチンと削っておいて…

ウレタンシルバーを研磨したスーパーファインを使い回して研磨します。今回購入したセット商品は1種類1枚なので、同じ番手のスポンジで研磨しようとすると使い回すしか方法がありません。

研磨するとツヤがなくなって落ち着いた金属光沢を放つのは青組も黒組も同じです。何ともいえないシブい色合いになりました!

表面を一定方向に研磨しつつ、エッジを落として下地のシルバーを出します。

この段階でF/Rサイトを装着します。サイトを差し込む際に塗膜が「バリッ!」と剥がれないかドキドキしましたが、無事に装着できました。

どちらもダメージ加工は施していませんが、特に違和感はありません。

研磨した黒組は微細なヘアラインも相まって素晴らしい金属光沢を放っています! パッと見には金属と見紛う輝きです!

白いくすみやタレも完全に修正できました!

しかし研磨前に存在していた「色の深み」がなくなったおかげで、ダメージ加工を施していないスライドストップとセフティが浮いて見えます。両者を研磨して質感を合せれば簡単に済む問題ですが、できればこのふたつはこのままで完成としたいトコロです。

これはもう「色」を取るか「質感」を取るか、どちらかひとつしかできないのでどうしようもないのですが…

研磨した黒組の金属的な質感も維持しつつ、黒色メタリックの深い色合いも捨て難い…

そんな欲張りな悩みを解決する方法がありました! クリアーです! 光沢クリアーを塗れば色の深みが復活します! 実は今までのカスタムではつや消しクリアーしか使った事がなかったので、同じような仕上がりに少々飽きていたトコロでした!

という訳でウレタンクリアーを塗装します。この段階でF/Rサイトを装着したのは、実は仕上げ塗りのクリアーを考慮したためです。さすがにクリアーの塗膜で厚くなったアリ溝にFサイトを差し込むのは厳しいので、事前にF/Rサイトを装着しておいて、そのままクリアーを塗ってしまう作戦にしました。

完全乾燥した状態です。

予想通り「色の深み」は復活しましたが、何となくコレジャナイ感が漂います。つや消しクリアーの自然な感じとは真逆の「何か塗ってる感」がハンパありません。しかも下地のシルバーが際立ち過ぎてイヤラシイというかワザとらしいというか…

そこでクリアーの塗膜を研磨します。

ここまで使用してきたスーパーファインはもう真っ黒です。水洗いしてもキレイにならないので、研磨スポンジは「消耗品」と割り切って使用するモノなのでしょう。

ここからの研磨はウルトラファインで行います。クリアーの光沢面を削り過ぎない様に注意しながら、慎重に研磨していきます。

塗装面をサッと撫でる様に磨くと、光沢のある塗膜がまだらに残ります。意図的に「磨きムラ」を残しながら、塗装した部分をすべて研磨します。

「半つやクリアーで塗装すれば、手間のかかる研磨作業をしなくても良いのでは?」

半つやクリアーだと塗装面は均一で単調ですが、この方法だとまだらに光沢が残るので表面が単調にならず、それなりに荒れた金属の風合いを再現できます。メンドクサイのでオススメはしませんが…

研磨が終るとこんな感じです。

程良い半つや状態になりました。効率は悪いですが、光沢の残し具合を自分で調節できるのがこの方法の良い点です。何より研磨作業が楽しい!

研磨スポンジはクリアーで真っ白です。コチラも洗っても落ちません。同系色の塗膜を研磨する以外には再利用できなさそうなので、少し勿体ない気がします…

これで塗装と研磨は完了です!

いよいよ組み立てを残すだけになりました! 長かったジェリコカスタムも一応の区切りを迎えると思うと(作動調整はアレですが)、感慨深いモノがあります。

スライド/フレームのレール部分に三層に塗り重ねられた塗膜を削り落とします。ここまでの塗装で嵌合がちょっとあり得ないくらいキツキツになっているので、棒ヤスリとペーパーで塗膜をガッツリ削り落とします。

フレーム側のレール部分です。内側に塗料が入らない様にティッシュを詰めて塗装しましたが、レール部分は一番上側なので塗料の付着は避けられません。ABSの地肌が見えるまで塗膜を削り落とします。

スライド側のレール部分はマスキングを一切行わなかったので、端から端まで綺麗に塗装されています。コチラもフレーム側と同様に、ABSの地肌が見えるまで塗膜を削り落とします。

スライド下面の塗膜も忘れずに削り落としておきます。

削り終えたスライドとフレームを組み合わせて動きを確認します。

これだけガッツリ削れば問題ありません! ガスブローバックでの作動不良が不思議なくらい滑らかにスライドが前後します!

フレーム左側のセフティピン頭とセフティクリックが入る凹部分の塗膜を削り落とします。三層の塗膜のうち二層は硬いウレタン塗料なので、ウソ偽り誇張なくリューター必須の作業です。塗膜を削ると「パキパキッ!」と硬そうな音がします。

セフティを「KSC方式」で組み込みます。

まずセフティ軸の根元の穴にセフティクリックスプリングを組み込みます。

スプリングの前にセフティクリックを置きます。

セフティクリックをセフティ軸の方向に押し込み、セフティ軸とピン頭の間の定位置に置きます。そして下側(セフティ表側)から細い棒を挿し込んでセフティクリックを固定します。

この状態のままセフティ軸をフレームに挿し込み、そのままセフティ本体をフレームに押し付けて組み込みます。セフティが正しく組み込まれると、細い棒を抜いてもセフティクリックが飛んで行ったりセフティが浮き上ったりする事はありません。

最後にセフティのドットに赤色を入れます。

これで完成です!

完成したのは良いものの、室内での撮影なので薄暗くて綺麗な写真ではありません。

そこで毎回好例の「屋外での撮影」を行いました! とはいえ今回はロケではなく、自宅の玄関前での撮影です。

私がロケが好きな理由は色々ありますが、そのひとつに「草の上に銃を置いて撮影すると銃がキズつかない」というのがあります。実はアスファルトの上で撮影するのが銃には一番厳しい状況で、置いた状態で少しでも銃を動かすとあっという間にキズが付いてしまいます。

ABS剥き出しの無塗装モデルでも塗装カスタム銃でも、アスファルトや岸壁のコンクリートは最凶の敵です。

草の上だと置いた状態で動かしてもキズは付きません。大事な銃を撮影するのは草の上に限ります! なので可能な限りロケを行って安心安全な草の上で撮影を行う様にしています(ロケでコンクリート上に銃を置く事もありますが)。

しかしいくら写真を撮るのが好きでも、今回の記事の写真枚数89枚はいくらなんでも多過ぎです。「銃を塗装しました」というシンプルな内容と、写真の枚数がかけ離れています。

という訳で、完成写真は次回ご紹介します!

お楽しみに!

KSC CZ75改ジェリコ941F⑩

7月にマッドさんにスライド/フレームその他を送りましたが…8月になっても音沙汰がないので連絡すると「レバー類のワンオフ加工にもう少し時間が必要」との事。

マッドさんは店長一人がすべてのカスタムを行う小さなショップなので、一度に複数の仕事が重なると納期が長くなるのは仕方ありません。ただ遅れるなら「少し遅れます」とか連絡して頂ければ有り難いのですが…

9月にようやく完成品が送られてきました。いくらなんでも二ヵ月はちょっとお待たせが長過ぎです。『お座敷ガンGUN』の塔四朗さんも同じ様なコトを仰っているので、連絡なく納期が遅れるのは今に始まった事ではなさそうですが…つまらない事でお店の評判を悪くするのは勿体ないと思います。

コチラが加工の終わったフル刻印スライド/フレームと完全ワンオフ製作の第三世代ジェリコFスライドストップ&サムセフティです!

バッチリです! 二ヵ月待った甲斐がありました! マッドさんはモノは良いのです。加工のテクニックは素晴らしいのです。ただ納期が遅いというかルーズというかザックリしているというか、もう少しそういうトコロに気を配れば良いのですが…

フレーム左側の刻印です。

素人が切った貼ったの大加工でイジり倒したフレームへの刻印加工はやはり無理があったのか、微妙に刻印が傾いています。それでも狭い平面部分に均一な深さで刻印を彫り上げる技術はさすがです!

フレーム右側の刻印です。

加工途中で消えてしまったKBI社の刻印を彫り直して頂きました。

シリアルナンバーはスライド/フレーム共に同じ番号です。実銃はチャンバーにも同じ番号が刻印されているのですが、CZアウターバレルのレーザー刻印を削り落としてシリアルナンバーを再刻印するのは大変なので止めました。

そして「ダビデの星」刻印です! これはジェリコだけでなく、イスラエル軍に正式採用された初期型ガリルにも様式を変えて刻印されています。しかもこれらの刻印は輸出仕様や米国生産品には一切ありません! まさにイスラエル軍用銃を象徴する刻印です!

イスラエル国防軍のトレードマークが刻印されたガリルARのレシーバーです。これはダビデの星に旧約聖書の『サムエル記』に登場する古代イスラエルの「ダビデ王」の「ゴリアテの剣」と中東地域に自生する「ハーブの木」を組み合わせたモノです。

ちなみにダビデ王はトランプのスペードのキングの王様のモデルであり、我々日本人にも馴染み深い存在です。ただダビデ王とダビデの星は関係がなく、ダビデの星=六芒星が歴史の舞台に登場するのは17世紀の三十年戦争以降というのが通説ではありますが…

本当はジェリコにもこのトレードマークをそのまま彫るのが正解なのでしょうが、図柄が大きく複雑なので、そのままのカタチでは刻印できなかった様です。1911の様に広い平面部分が取れないジェリコは、六芒星そのままのダビデの星を刻印するのが精一杯という感じです。

フレーム後端の "CDI SCYVL KY" はナニを意味するのか判りませんが、実銃通りに彫って頂きました。"WARNING…" の警告文が1ポイント小さい文字なのも実銃通りです。

そして!

完全ワンオフ製作のスライドストップとサムセフティです! どちらも第三世代ジェリコFの形状が正確に再現されています。日本では実物を見る事ができないのに、なぜこんなモノが造れるのか…

指掛け部分がハドソン純正の第一世代ジェリコRより大幅に拡大されているので操作性はバツグンです! さすがは建国以来ずっと戦争状態のイスラエル軍制式拳銃! 機能に直結する部分は妥協なく進化しています!

マッドさんはCZのレバーを薄く削り、そこにアルミ材で製作したレバーをビスとデブコンで接合して、仕上げにデブコンを盛って削って磨いて塗装して、このジェリコFのレバーを製作されたそうです。

プロの技は凄いです…

レバー上面の仕上げが少々荒いのですが、全体の完成度を考えれば些細な事です。後からいくらでも仕上げ直しができるので全く問題ありません。

それよりもサムセフティの "ある部分" が気になっていましたが…既存の「ピン穴」を埋めてしまわずにキチンと残して頂いていました! 素晴らしい!

この「ピン穴」はなにかと言えば…

KSC CZ75はサムセフティ組込時にセフティクリックが飛んで行かない様に細い棒で固定する必要があるため、サムセフティに細い穴が開いています。

この構造は実銃CZ75も同じだと思っていましたが…改めて調べると、実銃CZ75のセフティデティントピン(KSCのセフティクリックと同形状のパーツ)はシャーシの内側に組み込まれていて、サムセフティ組込時には精密ドライバー等でこのピンを押し込むのが正しい組込方法の様です。

コチラです

コチラも判り易いです。

上記のCZがオリジナルCZ75ではなく、CZ75BやSP-01なのが原因かも知れませんが…少なくとも今回調べた限りでは、実銃CZ75はサムセフティ本体にセフティクリックとスプリングを組み込んで細い棒で固定し、その状態でサムセフティをフレームに組み込む「KSC形式」ではありませんでした。

今回マッドさんが埋めずに開けておいてくれたピン穴は、セフティクリックを押さえておくための細い穴ではありません。

次の写真をご覧下さい。左側がCZ純正サムセフティで右側がマッドさん製作のジェリコFサムセフティです。

赤い丸で囲った円筒形の突起は実はピン形状の別パーツで、サムセフティをフレームに組み込むと、このピンがセフティクリックの先端部分を押さえ込みます。フレームにはピン頭とセフティクリックが収まる凹部分が設けられており、ピンが上⇔下するとセフティクリックピンが下⇔上に移動して、スプリングのチカラでクリックが効く構造になっています。

恐らく加工の際にジャマなので外しておいて、完成した後にリューターで穴を貫通させてピン穴の機能を復活させたのだと思います。

という訳で、CZ純正サムセフティからピンを取り出します。ユーザーがこのピンを取り外す事は想定されていないのか、このピンは取説に記載されていません。

ラジオペンチで掴んで引き抜きます。

取り外したピンをマッドさん製作のジェリコFサムセフティに装着しますが…硬くて完全に挿し込めず、ピン頭がコンマ数ミリ浮いてしまいます。リューターで奥の方を広げようとすると、奥の硬いアルミ材?は削れずに手前ばかりが削れて、ピンの挿入が緩くなってきました。

ピンが抜けると困るので『セメダイン メタルロック』をピン穴に流し込んで接着し、コンマ数ミリ高いピン頭を削って高さ調整しました。この金属用接着剤はデザートイーグルカッタウェイのマガジンフォロワー製作時に使用しましたが、安価な価格にも関わらずガッチリ強力に接着できるのでオススメです!

セフティクリックを固定する細い穴を貫通させます。デブコンはリューターで簡単に穴が開きます。やはり上記のピン穴は硬いアルミ材に開けられていた様です。

それではフレームに組み込み…の前に、フレームを小加工します。

フレームにはマッドさんが第三世代ジェリコFサムセフティ用のドット穴を開けて頂いていますが…CZサムセフティ用のドット穴を埋め忘れています。いつもはキチッと完璧な加工をして頂けるマッドさんですが、今回は忙しかったのか急いで加工を行ったのか、仕上げが荒かったり加工し忘れていたりする箇所が多いです。

CZサムセフティ用のドット穴をプラリペアで埋めて整形します。

それでは改めて…

ジェリコを組み立てました! 今までの仮組み工程では省略していたF/Rサイトもすべて組み込んで、完全な形状に組み上げました!

カッコイイ! 抜群のカッコ良さです!

第三世代レバー類とのマッチングを考えてジェリコトリガーを組み込んでみました。見た目は良いのですが、トリガーを引くと「ギリギリ」とおかしな音がします。またトリガーバーとアクセルが欠けてしまわない内に元に戻しました。

刻印部分をもう一度ぐるりと見てみます。

やはりスライド/フレーム単体で見るより、パーツを組み込んだ状態の方が引き締まって見えます! 刻印もバッチリ決まってます!

あとはグリップを取り付けるだけ…と、ここで問題発生!

なんと大日本技研レプリカグリップを取り付けた状態では、CZマガジンのリップ部分が干渉してマガジンキャッチがかかる高さまでマガジンを挿入できません!

おぉぉ…

よく見ると、元々グリップ前方下部が下方に突出する形状に成形されています。恐らくジェリコマガジンを挿入すればリップ部分が綺麗に隠れる形状なのでしょうが…CZマガジンはリップ部分が前方に大きく突き出しているので干渉してしまいます。

干渉しているグリップ前方下部を削ります。

削り終えた状態です。元々突出していた部分を平らに削っただけなので、見た目が不自然になる事もありません。むしろグリップ下面がフラットになって自然な見た目になりました。

これでマガジンキャッチがかかる位置までグリップを挿入できます。

すべての加工が完了しました! 厳密に言えばまだ作動調整が終わっていませんが、それはちょっと疲れたので…とりあえず本体加工はこれで完了とします。

あとは塗装です! 今回のカスタムもいよいよ塗装を残すのみとなりました! ここまで苦労して仕上げたカスタムなので、塗装で失敗せずにバシッ!と綺麗に仕上げます!

次回をお楽しみに!

KSC CZ75改ジェリコ941F⑨

作動調整は一旦お休みして、外観の細かい部分を仕上げていきます。

まずスライドとフレームの棒型テイクダウンマークをプラリペアで埋めて、ジェリコ特有の丸ドットテイクダウンマークを掘ります。細かい部分ですが見た目の印象がガラリと変わります!

次にジェリコのリコイルSPアッセンブリーを分解します。

今回のカスタムでは機能部品はすべてCZの部品を使用する方針なので、ジェリコのリコイルSPガイドは使わずに放置していました。しかしそれでは勿体ないので、黄色い丸で囲んだ先端部分を切断してスライドに組み込みます。

リコイルSPガイドの先端部分を切断します。単純にバッサリ切断するのではなく、根元部分を円錐形に加工してから切り落とします。

次にCZのリコイルSPガイド基部を切断します。

切断した基部にジェリコのリコイルSPガイド先端部分を挿し込んで、ジーナスで接着します。硬化後にハミ出したジーナスを除去して根元を綺麗にすれば「なんちゃってリコイルSPガイド」の完成です!

これをスライド先端に組み込むのですが…そのまま組み込むとスライド後端時にCZのリコイルSPガイドと干渉してしまいます。

そこでCZのリコイルSPガイド先端を切り詰めて短縮するのですが、CZのリコイルSPガイドは内部にガイドピンとガイドピンスプリングが組み込まれています。

CZのリコイルSPガイドはバレルホルダー下部から前方に突き出たバレルホルダーピンが挿し込まれる事で、スライド内部で常に水平な状態で保持されます。ガイドピンとガイドピンスプリングはバレルホルダーピンにスプリング圧を加えて、リコイルスプリング圧と拮抗するカタチでリコイルSPガイドを保持する部品です。

リコイルSPガイド先端部分にネジ山が施されおり、そこにネジ込まれたガイドピンスクリューが内部に組み込まれたガイドピンとガイドピンスプリングを固定しています。このネジ山を残す必要があるので、先端部分を完全に切り飛ばす事はできません。

約3mm短縮するとネジ山がギリギリ数本しか残らなくなりますが、なんちゃってリコイルSPガイドとの干渉は解消されます。

スライドを組み立ててなんちゃてリコイルSPガイドを組み込みます。良い感じです!

あくまでもダミーなので、スライド後退時にリコイルSPガイドは突出しません。しかしダストカバーがスライド先端下部をすっぽり覆い隠すフレーム形状のおかげで、スライド後退時にリコイルSPガイドが突出しなくてもそんなに目立ちません。

続いてジェリコトリガーを移植します。

CZとジェリコはトリガーの形状もトリガーバーの形状も共に酷似しています。実銃がオリジナルとクローンの関係なので当然ですが、エアガンの形状まで酷似しているのはKSCとハドソンが極限まで実銃に忠実な内部構造を再現したからに他なりません(ジェリコのトリガーバー以降は独自構造です)。

さすがはモデルガンメーカー! どちらも素晴らしい技術力とコダワリです! こういう「分解すると判るデキの良さ」はマルイ製品では絶対に体験できません!

トリガーをチェックします。

トリガーピン穴とトリガーバーピン穴はほぼ同じ位置にあります。幸い二箇所ともジェリコトリガーのピン穴の方が細いので、ピン穴を広げるだけで簡単にトリガーを移植できそうです。

まずジェリコトリガーのトリガーバーピン穴を広げて、CZトリガーバーピンを半分くらいまで挿し込みます。

そこにCZトリガーを挿し込み、ふたつのトリガーをトリガーバーピンで連結します。そして両者をセロテープでガッチリ固定します。

この状態でトリガーピン穴を加工すれば、CZトリガーと寸分違わぬピン穴をジェリコトリガーに開ける事ができます。

CZのトリガースリーブがキッチリ入る寸法までトリガーピン穴を広げました。

CZのシャーシにジェリコトリガーを組み込みます。バッチリです!

ギラギラと輝くメッキシルバーのCZトリガーが黒色のジェリコトリガーに替わる事で、外観がますますジェリコらしくなりました!

しかし…

組み込んだ当初は問題なく作動していましたが、徐々にダブルアクションの動きが固くなり、やがて「カキッ!」という音と共にダブルアクションが全く効かなくなってしまいました。

分解してみると…なんとトリガーバーとアクセルの接触部分が共に欠けていました!

慌ててスペアのCZからトリガーバーとアクセルを取ってきて交換しましたが…

ジェリコトリガーのピン穴はCZトリガーと寸分違わぬ位置に加工してあります。しかしトリガーバーとアクセルは明らかに無理なチカラが加わったとしか思えない破損をしています。

これはもう「CZトリガーとジェリコトリガーのRが異なるために、微妙にベクトルの異なるチカラがトリガーバーに加わり続けた結果、トリガーバーとアクセルの接触部分に負荷が蓄積して破損した」としか考えられません。

CZトリガーに戻すとスムーズなダブルアクションが復活しました。やはりRの異なるジェリコトリガーが不具合の原因だった様です。

続いてジェリコアウターバレルより2mm長いCZアウターバレルを短縮します。アウターバレルを短縮するとインナーバレルが先端から突出する可能性があるので、インナーバレルも同時に2mm短縮する必要があります。

アウターバレルを切断して切断面を2mm削り、アウターバレルを短縮します。

そしてインナーバレルを組み込んで中心位置を決め、当て木にガッチリ固定してどの方向にも曲がらない様にしたアウターバレルの継ぎ目をプラリペアで溶着します。

ハミ出したプラリペアを削り落として整形します。これでアウターバレルは完成です!

しかしインナーバレルを組み込むと、ショートリコイル位置でインナーバレルが突出します。

インナーバレル先端を2mm削って短縮します。

棒ヤスリでテーパー加工を施し、ミッチャクロン+ブラックブラッセンで黒色に塗装します。

これでバッチリです!

僅か2mm短縮しただけですが、見た目の印象がガラリと変わりました! アウターバレルの「長過ぎ感」が払拭されて、ジェリコらしさがアップしました!

あとは非常に細かいトコロですが、CZマガジンキャッチ右側にジェリコマガジンキャッチと同じ穴を開けて黒染めします。肝心のマガジンキャッチ左側(押す部分)の形状が異なるので重箱の隅をつつくような加工ですが、機能パーツはCZ純正をそのまま使う方針なので良しとします。

本当はジェリコマガジンキャッチの押す部分を切断して移植すれば完成度が上がるのですが、不具合が生じた時に同じモノを製作するのは大変なので止めておきます。

外観の加工はこれで終わりです。

コッキング不良を改善するために、ギガバルブでガス放出量を増やしてブローバックの勢いを増してみました。

効果はありませんでした…

フルオート現象を防ぐために、リリースカムの内側下部を削ってリリースカムが純正状態より高く飛び出す様に加工しました。

スライド抵抗が増して逆効果になりました…

良い結果が出たのは、シリンダースプリングを引っ掛けるピン部分の先端をライターで炙って丸くして、シリンダースプリングが外れ難くしたプチ加工だけです。

他にも細かな削り加工とか部品の入れ替えとか色々やってみましたが、なにをどうやっても作動不良は一向に改善されません。これだけ「やってもムダ」な状態が続くと、もう作動が良いとか悪いとか、どうでも良くなってきます…

とりあえず外観の加工が終ったので、スライドとフレームをマッドさんに送ります。フレームは平面なので良いのですが、スライドはナナメの面なので刻印加工の際に治具を製作して頂く必要があります。

こうなると工賃がイッキにハネ上がるのですが、せめて外観だけでもバシッ!とジェリコFにしたいので、妥協せずにフル刻印をお願いしました。

スライドが戻ってくれば塗装を行います。

次回に続きます!